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結婚できた男・阿部寛と結婚しない女・沢口靖子の熱愛トラウマ

『まだ結婚できない男』の阿部寛の恋愛を振り返る

■結婚できた男・阿部寛と結婚しない女・沢口靖子の熱愛トラウマ

 阿部寛と沢口靖子。31年前、熱愛を報じられたふたりだ。両者は88年夏「24時間テレビ 愛は地球を救う」内で放送されたスペシャルドラマ「二十歳 もっと生きたい」で知り合った。主役の沢口は23歳で、前年12月に役者デビューしたばかりの阿部は24歳。当時のことを、阿部自身が著書「アベちゃんの悲劇」(98年)でこう振り返っている。

「僕は役柄で恋人同士ということもあり、徐々にその女優さんに惹かれていった。『可愛いな。明るくて、性格がよくて、人間的にも魅力的だし』と、この世界に入って初めて〝女優さん〟に好意を抱いた。(略)毎日、現場に行くのが楽しく、仲のいいヘア・メイクの人たちに、モデル時代のノリで、オープンに『付き合ってみたいな』なんて話をしたりしていた」

 ちなみに、この本は「いい男」として世に出た阿部がそのつらさをせつせつと語る内容。「この『いい男はいいよなー』という言葉は1000回以上聞かされた。『そんなんで、俺をかたづけんなよ』『人間として真正面から扱えよ』といつも心の中で叫んでた」などという「いい男」以外にはわからない本音が綴られている。筆者の知る限り「いい男」のつらさをここまで臆面もなくネタにした芸能人は他にチュートリアルの徳井義実くらいだ。

 それはさておき「いい男」に生まれたおかげで沢口とも出会えた阿部は、こんな行動に出る。

「ちょうど花火のシーズンだった。その日の仕事が終わり、一段落したところで僕はスタッフやマネージャーたちのいる前でその女優さんに『今度花火見に行かないか』と声をかけた。モデル時代、仕事が終わった後よくみんなで遊びに行ったから、そういう気軽なノリで誘ったつもりだったが、その人は監督、プロデューサー、マネージャー、大勢の人にガードされた有名な女優。(略)2~3日後、もうそれはマスコミの知るところとなり、僕は大切な人気女優をナンパしようとした、札つきのプレイボーイという記事がスポーツ紙にデカデカと載った」

 これを機に、さまざまなメディアがとりあげたが、その主役は朝ドラ「澪つくし」や映画「竹取物語」ですでに国民的女優となっていた沢口のほうだ。阿部はあくまで、かぐや姫に求婚した貴公子みたいな扱いだった。しかも、阿部が事務所の方針でノーコメントを貫いたのに対し、沢口サイドは交際を認め、積極的に取材を受けて、彼女自身に語らせた。たとえば、こんな具合だ。

「メークの人や事務所の人と、いっしょに食事をしたり、2人だけでディズニーランドへ花火を見にドライブしたこともあります」(「女性自身」)

 じつは当時、彼女は「永遠の処女」などともてはやされる一方で、新興宗教・真如苑との関係が取り沙汰されてもいた。それゆえ、取材では入信を否定したうえで、こんな発言もしている。

「最近、石原真理子さんを広尾の本部でシカト(無視)したという記事がありましたがデタラメですよ(笑い)」(「週刊女性」)

 とまあ、熱愛報道を逆手にとり、清純派らしい交際ぶりなどをアピールすることでイメージアップにつなげようとしたふしも見られるのだ。

 これに対し、阿部サイドは無策だった。その結果、彼は本のなかで「何かあるとかんぐって勝手なことを書きたい放題。何もないのに」とか「謂れなき『スキャンダル』事件で、仕事の面でも干されて」しまったとぼやくハメになる。

 実際、その後は別の女優と共演するだけで「三角関係に発展!」「新しい愛、発覚か?」などと書かれるようになり、出演依頼も激減したという。

KEYWORDS:

『痩せ姫 生きづらさの果てに』
エフ=宝泉薫  (著)

 

女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは?

人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶
————中野信子(脳科学者・医学博士)推薦

瘦せることがすべて、そんな生き方もあっていい。居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。
健康至上主義的現代の奇書にして、食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。

摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。食事を制限したり、排出したりして、どんどん瘦せていく、あるいは、瘦せすぎで居続けようとする場合はもとより、たとえ瘦せていなくても、嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。しかし、こんな見方もできます。

瘦せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。今すぐにでも死んでしまいたいほど、つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために「瘦せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。
(「まえがき」より)

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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痩せ姫 生きづらさの果てに
  • エフ=宝泉薫
  • 2016.08.26