水道法改正10年後の日本の水はこうなる!民間企業参入のコンセッション方式は普及するか?(『日本の「水」が危ない』六辻彰二 著より

■コンセッション方式は普及するのか

 

 コンセッション方式とは、基本的にPFIでは公的機関が施設などの所有権を握り、民間企業に経営権が認められるが、コンセッション方式ではこれに加えて、委託された事業者が公的機関に対価を支払い、公共サービスを提供し、利用者から料金を徴収することになる。対価を受け取れるので、公的機関は施設からの収益を早期に回収できる。

それと引き換えに、民間事業者には公的設備の経営権を独立した財産権として扱うことが認められ、事業者はこれを担保に金融機関や投資家から資金を調達できる。そのため、事業者にとっては柔軟な資金運用が可能になる。ただし、仮に経営が行き詰まった場合には、出資者に抵当権が発生する。したがって、民間事業者の責任も大きい。

 2018年改正水道法で「水鎖国」が解かれた日本では、水道事業にさまざまな業種の企業が参入することが、法的には可能になった。そのなかには、激しさを増す世界の水ビジネスでしのぎを削る海外の水メジャーも含まれる。

 この状況のもと、10年後の日本の水道はどうなっているのだろうか。そもそも日本の水道で、実際にコンセッション方式は普及するのだろうか。あるいは、普及するとすれば、どの程度だろうか。そして、水ビジネスが普及した場合、海外と同じく日本でも水質悪化や料金高騰などの問題は発生するのだろうか。この章では、これまでの海外の事例や日本特有の条件から、10年後の水道を予測してみる。

 まず、コンセッション方式が日本で普及するかを考えていこう。

 これに関して重要なことは、コンセッション方式を導入するか、しないかの決定権をもつ市町村の多くが、コンセッション方式に積極的でないとみられることだ。第3章で触れたように、コンセッション方式の導入予定に関する2015年の厚生労働省の調査に対して、ほとんどの水道事業者は「未定」と答えた。とりわけ人手の不足する小規模の水道事業者では、将来的な検討まで手が回りにくいが、それだけでなくコンセッション方式への警戒感も根深くあるとみてよい。いずれにせよ、水道事業の現場から強い要請や提案がなければ、自治体がコンセッション方式の導入の検討に着手するきっかけは生まれにくい。