◆IT業界から不動産業界への華麗でもない転身

 だいぶ世の中が不景気だった、ちょっと昔の話。
 当時、ガラケー業界でIT土方の仕事をしていた私は毎年3割ずつ売上が減っていく管理画面を眺めては、背後に迫る失業の足音に怯えていました。

 経営会議で「フリック入力は日本人の生理に合わないからスマホは普及しないらしいね。」「スマホはバッテリーがもたないから、みんなガラケーに回帰しはじめたらしい!」と、どこから拾ってきたかわからない怪情報にすがり始める経営陣。

 そもそもお前らガラケーで自社のサイト見てないし、iPhoneも持ってないだろ。
 あれすげーぞ。どう考えても俺たちもうダメだから

 もはや沈みゆくガラケー業界に見切りをつけて、ため込んだ歩合給の数千万円で不動産投資でもして、もう働くことなく不労所得でストレスなく暮らしていけないだろうか…。そんなことを考えてあちこちの不動産ポータルサイトを見まくっては不動産会社に飛び込みました。
 頼もう!頼もう!

 「ふ、ふ、ふ、不動産投資をしたいんです。目線としてはグロス10%は欲しくて、あとは担保評価がでて、築10年くらいまで、駅近の一棟物件ありませんか?」
 いろんな不動産投資本を読んで、学んだ不動産用語をめいっぱい使って「素人じゃないぞ! 騙すなよ!」と虚勢を張りながら伝えると、不動産屋は決まって「頑張ります!」「いい物件があったら真っ先にお知らせします!」と答える。
 でも、そうやって口にはするけれど、どうみても何か頑張っている気配はありません。
 こちらは全財産の数千万円という大金をはたくお客様なんだぞ。人生を賭けた買い物をしようとしているんだ! もっと真剣にやってくれよ!

 そんな不動産世界の流儀に戸惑い、憤りながらも…不動産屋の手の内を知りたいと調べているうち、現役の不動産屋さんが平日の昼間からツイッターの奥地で活発にやりとりをしているのを発見しました。

 ぜ、全宅…ツイ? なにこの人たち、めっちゃ面白いな。

 不動産販売を空爆したり、地主の靴下を飲んだりしてる。毎日朝からタイムラインで繰り広げられる不動産コントをみて、意味のわからないツイートや用語があれば検索しているうち、なんとなく不動産業界の仕組みや、自分の立ち位置がだんだんわかってきました。

 そもそも投資用の不動産を紹介してもらうのはデパートで買い物するのとはわけが違うみたい。いくら高い買い物といっても、相場より1,000万円お得な不動産の情報を欲しいというのは、1,000万円をくれというのとほとんど変わりがないんだな…。
 不動産を買いにいった素人が親切にしてもらえないのは当たり前で、むしろお茶がでてきたり、経費でチヤホヤと接待してくれる業者で買う方が危険なんだ。
 どうやら私のようなプロではない買い手は彼らの中では「エンド」と呼ばれているらしい。エンド価格、エンドに押し付ける、エンドに売ればいいじゃん、これは…もしや…蔑称なのでは?

 なんとか不動産クラスタの中に飛び込みたいけれど、知識も経験も足りないし、そもそも自分は不動産屋じゃないしな…。そう思いながらもツイッターアカウントを作成。アカウント名は…「どエンド君」にしました。
「我が名はどエンド!我こそは最後にやってきて、甲区にその名を刻む者!
 

 

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