「ひきこもり」と「発達障害」の関係について

●担当編集者・山崎(以下「山」と表記)──本書のテーマである「ひきこもりと発達障害の関係」についてはずっと考えられていたんですか?

■発達障害カウンセラー・吉濱ツトム(以下「吉」と表記)──考えてました。基本的には発達障害は劣位的な存在ではないということがあります。あるんですけど、適切な環境でなければ過度なストレスがかかってしまってしまう。
 だから発達障害の学生は当然登校拒否とか不登校になりがちで、社会人の場合も同じことが起こる。もちろん「ひきこもり=発達障害」とは言わないですけど、かなりの確率で発達障害に起因しているんだろうなと思いますね。

●山)──「これ、ぼくもだな」「自分もひきこもりになるな」ってことがあって、もちろん本には書いてあるんですけど、せっかくなので、多くの人が悩んでいる引きこもりの出口…先生はその出口をどのように見つけたのかって言うのを改めてお聞きしたいんです。

■吉)──夢も希望もないんですが(苦笑)…追い込まれたということでしょうか。ひきこもりには色々な要因があるんですけど、まず1つは引きこもっても大丈夫な環境要因があるってことが挙げられます。でも僕の場合は家を追い出されて、貯金もなくなって引きこもるための資金もなくなったから対策をたてなければいけなくなったというのがありますね。

●山)──やるしかなかったというわけですね。 

 

■吉)──そうです、生きるために(笑)。ひきこもりの特徴としては、適応できる環境とできない環境の差があまりにも激しいというのがあります。基本的には適応できる環境さえ見つけてしまえば回復への見込みができるんです。それと、発達障害には「これとこれとこれをやれば必ず改善できる」という世界標準のものがあって、それを上手に知ることができたことです。
 つまり『追い込まれた+適切な環境を見つけらた+必要な知識を得ることができた』事だと思います。

●山)──一人でいること自体が鬱になりやすいことや、環境によって人は変わるということをこの本の中でも仰っていますよね。そういう意味では7040、8050問題の当事者、つまり40代以上の中高年のひきこもりが多い。特に40~50代の人は「就職氷河期世代」と呼ばれていて、そういった社会に環境も劣等感を高める状況にあったのかもしれませんね。

■吉)──大いにありますね。多くの人は、人の行動や言葉は内面が決めると思っていますが、それは半分以上は間違いで、言動の決定要因は内面ではなくて、実は環境的な要因が大きい

●山)──具体的にはどういうことでしょうか?

■吉)──就職氷河期の世代でかつ若者を排斥するような終身雇用制度を例にすれば、本人に落ち度がないのに「制度=環境」として、どうしようもない
 そして落ち度がないにもかかわらず4回5回6回と続けて採用試験に失敗してしまったら誰だって心は折れますよ。それでも、しばらく経てば多少は回復するんだけど、改めて就職しようとしても終身雇用の制度で「30代後半だから無理です」と言われたら、もうひきこもるしかないんですよ。

●山)──ええ。

■吉)──引きこもりって言うのはもちろん発達障害もなんですけど、内面的な問題はさておき、単純に環境要因で引き起こされることが多いんですね。
 

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