消費増税も吹っ飛ばす破壊力。「MMT」(現代貨幣理論)の正体 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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消費増税も吹っ飛ばす破壊力。「MMT」(現代貨幣理論)の正体

トンデモ理論か、日本を救う切り札か。

■意外とシンプルな理論

 ところで、MMTとは、どのような理論なのでしょうか。

 一見すると難しそうですが、ポイントだけ押さえれば、意外と簡単に分かります。

 ポイントは、こうです。

 日本やアメリカやイギリスのように、自国通貨を発行できる政府(正確には、政府と中央銀行)は、デフォルト(債務不履行)しない。

 自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない(アルゼンチンなど、デフォルトの事例は、外貨建て国債に関するものだけ)。   

 だから、アメリカや日本は、財源の心配をせずに、いくらでも、好きなだけ支出ができる。

 ただし、財政支出を拡大し、需要超過になって、インフレになる。

 たった、これだけです。

 しかし、実は、このMMTの主張は、単に「事実」を言っているだけで、何も新奇な理論を提唱しているわけではありません。

 通貨を発行できる政府が、自国通貨建ての国債を返済できるなんて、当たり前の話です。

 それどころか、財務省だって、日本の国債は、自国通貨建てなので、デフォルトしないと言っているのです。

 平成14年に、海外の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げました。すると、財務省は、格付け会社(ムーディーズ、S&P,フィッチ)宛に、質問状を発出しました。そこには、こう書かれています。

(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。 

 デフォルトしないのならば、政府は財源の心配は無用ということになります。

 しかし、もしそうだとすると、税金は、何のためにあるのでしょうか。

「財源の心配がいらないなら、無税国家ができるじゃないか」と思われたかもしれません。

 もちろん、無税国家は不可能です。

 なぜなら、税金を一切なくして、政府が好きなだけ財政支出をしまくったら、消費や投資が拡大し続け、インフレが止まらなくなって、大変なことになるからです。

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中野 剛志

なかの たけし

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)。  

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  • 剛志, 中野
  • 2019.04.22