なぜ、あの人は自死を選んだのか。「遺された私」が見つけた、一つの「答え」【あさのますみ】《特別寄稿》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

なぜ、あの人は自死を選んだのか。「遺された私」が見つけた、一つの「答え」【あさのますみ】《特別寄稿》

『逝ってしまった君へ』著者・大切な友人の自死を経た「遺された人」のこれから

 

 わからないことがあるのは苦しい。理解できる方が、心の置き場所がある方が、苦しみはずっと少なくて済む。けれど、答えを無理に見つけようとしたり、湧き上がる感情に名前をつけて、曖昧なものまでそこに集約させようとすると、大切ななにかを取りこぼしてしまう感覚が確かにあった。

 一人の人間が死に至るまでの心の動きを、あとから他人が完全に理解できるはずなどないのだ。すべてわかったと思うなら、それはきっとただの捏造だ。そのとき心の中にいる友人は、もはや本当の彼とは別の人だろう。

 息ができなくて、立ち止まった。いつの間にか嗚咽していた。大きく深呼吸して、散ってゆく桜を仰いだ。

 

 ――どんな悲しみに襲われても、ここから先、わからないことをわからないままにしておける強さを、どうか私にください。

 

 霊園の桜吹雪に祈った。空の青さが目に染みて、また涙がこぼれた。

 

 文:あさのますみ

 

KEYWORDS:

※カバー画像をクリックするとAmazonサイトへジャンプします

オススメ記事

あさのますみ

あさのますみ

作家・声優

秋田県出身。國學院大学卒業後、声優に。趣味はカメラ。2007年、はじめて書いた創作物が小学館で大賞を受賞。それをきっかけに、声優業は『浅野真澄』として、文筆業は『あさのますみ』として、名義を分けて仕事をするように。現在、猫や鳥と暮らしながら、二足の草鞋で活動中。初めてのノフィクション随想録『逝ってしまった君へ』を上梓。全国書店、Amazonにて発売中。

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

逝ってしまった君へ
逝ってしまった君へ
  • あさの ますみ
  • 2021.06.30