【東京・南青山 根津美術館】5月31日(土)より企画展「はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-」を開催
古美術をわかりやすく解説する「はじめての古美術鑑賞」シリーズで、古美術鑑賞のツボを学び、「推し」を見つけよう

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写経と墨蹟。読めないし、敷居が高そう、と思われるかもしれませんが、どちらも仏教に基づく一方で、ひたすらに書き写された書と、書き手である禅僧の個性が表れた書という対照的な魅力を持ち、これまで賞玩されてきた古美術の重要なジャンルです。
写経は、6世紀の仏教伝来以来、今日まで連綿と続く営みです。奈良時代には、専門の写経生たちが謹厳で端正な書風を残しています。また、平安貴族たちが功徳を求めて作らせた壮麗な写経の遺品からは、その料紙装飾や書風を通じて当時の美意識を知ることができます。
墨蹟は、主に禅宗の僧である師から修行増へ、修行の進捗や達成の証などとして与えられてきました。書き手である高僧の精神が表れたような、個性的な書風が見どころです。やがて禅宗の精神性を尊ぶ茶の湯で、墨蹟は茶室の床の間を飾る格の高い掛物として位置づけられていきます。
「はじめての古美術鑑賞」と銘うったこの展覧会(展示室1)では、展示室を二分して写経と墨蹟を並べ、まずその造形的な違いを目で見て実感していただきます。展示作品は、当館が所蔵する写経と墨蹟の国宝、重要文化財が中心です。これらの作品は何が、どのように優れているのでしょう?書としての見どころや歴史的な重要性などの鑑賞ポイントを、専門用語もわかりやすく解説しながらご紹介します。名品で古美術鑑賞を始めましょう!

国宝 観普賢経(無量義経・観普賢経のうち) 2巻 彩箋墨書 日本・平安時代 11世紀 根津美術館蔵
写経-祈りを込めた、整然とした書細かい金箔を散らし、色の異なる染紙を交互に継いだ華やかな装飾経。両巻は同一筆者で、温雅な和様の書風を呈す。書と料紙の調和美に優れた、平安後期の名品である。
60巻本の「華厳経」を書写した二月堂焼経は、奈良時代の現存する唯一の紺紙銀字経である。この1巻は、火災にあいながらも巻首から巻末まで本紙が遺っている点が大変貴重。

重要文化財 華厳経 巻第四十六(二月堂焼経)(部分) 1巻 紺紙銀字 日本・奈良時代 8世紀 根津美術館蔵

重要文化財 一山一寧墨蹟 進道語 1幅 紙本墨書 日本・鎌倉時代 正和5年(1316) 根津美術館蔵
墨蹟-禅僧の人柄がしのばれる、大胆な筆致
中国僧の一山一寧(いちざんいちねい)が、京都・南禅寺の住持をつとめていた際、日本僧の固山一鞏(こざんいっきょう)に与えた1幅。一山は、より一層修行に励むようにと、固山を鼓舞した。流れるようによどみなく書かれた、見応えのある草書である。
中国僧 無学祖元(むがくそげん)が、日本僧 一翁院豪(いちおういんごう)に、自らの教えを正しく受け継いだ証として法衣を授けたことを、宗教的な詩である偈に詠んだもの。中国・宋時代の書風を伝え、無学の遺墨のなかでも優品である。

無学祖元墨蹟 附衣偈断簡 1幅 紙本墨書 日本・鎌倉時代 弘安3年(1280)根津美術館蔵
「はじめての古美術鑑賞」シリーズについて
若い世代の方たちの仏像や刀剣、琳派への注目度の高まりを背景に、根津美術館では2016年から古美術鑑賞の入門編となるような展覧会を開催しています。なんとなく敷居が高いと思われがちな古美術の専門用語を作品例とともにわかりやすく解説し、見る方の興味を広げ、古美術の面白さやすばらしさを体感していただけることを目指しています。
書の中でも特に写経と墨蹟の見どころを名品で学ぶ本展は、「絵画の技法と表現」(2016)、「紙の装飾」(2017)、「漆の装飾と技法」(2018)、「絵画のテーマ」(2019)、「人をえがく」(2021年)に続く6回目となります。
関連催事

当館ホームページの「イベント情報」の申し込みフォームからお申し込みください。先着順で定員になり次第締め切ります。5月27日(火)午後1時より受付開始。参加は無料ですが、美術館入館料が必要です。
京都と大津を結ぶ街道の土産物として親しまれた大津絵。その制作の様子や、さまざまな享受のされ方を紹介しつつ、所蔵の大津絵を初めてまとめて披露します。

鬼の念仏図 1幅 紙本着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
大津絵の人気画題の一つで、柄にもなく殊勝な様子を表す。初代根津嘉一郎は、昭和初期の民藝運動における大津絵の再評価をうけ、茶会の寄付でこの作品を用いた。
展示室5 特別仕様の美術品収納箱
美術品の収納箱の中には、所有愛にあふれる、こだわりの装飾が施されていることがあります。普段展示される機会のない、その美しい収納箱を主役にご紹介します。

焼締茶碗 銘 武蔵野 収納箱 1合 木胎漆塗 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
蓋表に平蒔絵で大胆に配された大きな満月と繊細な秋草。内に収まる茶碗の銘にふさわしい、武蔵野を象徴する意匠である。
展示室6 風待月(かぜまちつき)の茶
風待月とは旧暦6月のこと。蒸し暑さのなか、涼風を待つこの季節にふさわしい異称です。風を感じる季節の茶道具約20点を取り合せます。

青磁透彫二階香炉 龍泉窯 1口 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵
底が高い位置にあることから、茶人・小堀遠州(1579~1647)によって「二階香炉」と箱書きされた香炉。脚部には透し彫りで蓮唐草があらわされる。
企画展「はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-」開催概要

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写経と墨蹟。読めないし、敷居が高そう、と思われるかもしれませんが、どちらも仏教に基づく一方で、ひたすらに書き写された書と、書き手である禅僧の個性が表れた書という対照的な魅力を持ち、これまで賞玩されてきた古美術の重要なジャンルです。
写経は、6世紀の仏教伝来以来、今日まで連綿と続く営みです。奈良時代には、専門の写経生たちが謹厳で端正な書風を残しています。また、平安貴族たちが功徳を求めて作らせた壮麗な写経の遺品からは、その料紙装飾や書風を通じて当時の美意識を知ることができます。
墨蹟は、主に禅宗の僧である師から修行増へ、修行の進捗や達成の証などとして与えられてきました。書き手である高僧の精神が表れたような、個性的な書風が見どころです。やがて禅宗の精神性を尊ぶ茶の湯で、墨蹟は茶室の床の間を飾る格の高い掛物として位置づけられていきます。
「はじめての古美術鑑賞」と銘うったこの展覧会(展示室1)では、展示室を二分して写経と墨蹟を並べ、まずその造形的な違いを目で見て実感していただきます。展示作品は、当館が所蔵する写経と墨蹟の国宝、重要文化財が中心です。これらの作品は何が、どのように優れているのでしょう?書としての見どころや歴史的な重要性などの鑑賞ポイントを、専門用語もわかりやすく解説しながらご紹介します。名品で古美術鑑賞を始めましょう!
展示作品より

国宝 観普賢経(無量義経・観普賢経のうち) 2巻 彩箋墨書 日本・平安時代 11世紀 根津美術館蔵
写経-祈りを込めた、整然とした書細かい金箔を散らし、色の異なる染紙を交互に継いだ華やかな装飾経。両巻は同一筆者で、温雅な和様の書風を呈す。書と料紙の調和美に優れた、平安後期の名品である。
60巻本の「華厳経」を書写した二月堂焼経は、奈良時代の現存する唯一の紺紙銀字経である。この1巻は、火災にあいながらも巻首から巻末まで本紙が遺っている点が大変貴重。

重要文化財 華厳経 巻第四十六(二月堂焼経)(部分) 1巻 紺紙銀字 日本・奈良時代 8世紀 根津美術館蔵

重要文化財 一山一寧墨蹟 進道語 1幅 紙本墨書 日本・鎌倉時代 正和5年(1316) 根津美術館蔵
墨蹟-禅僧の人柄がしのばれる、大胆な筆致
中国僧の一山一寧(いちざんいちねい)が、京都・南禅寺の住持をつとめていた際、日本僧の固山一鞏(こざんいっきょう)に与えた1幅。一山は、より一層修行に励むようにと、固山を鼓舞した。流れるようによどみなく書かれた、見応えのある草書である。
中国僧 無学祖元(むがくそげん)が、日本僧 一翁院豪(いちおういんごう)に、自らの教えを正しく受け継いだ証として法衣を授けたことを、宗教的な詩である偈に詠んだもの。中国・宋時代の書風を伝え、無学の遺墨のなかでも優品である。

無学祖元墨蹟 附衣偈断簡 1幅 紙本墨書 日本・鎌倉時代 弘安3年(1280)根津美術館蔵
「はじめての古美術鑑賞」シリーズについて
若い世代の方たちの仏像や刀剣、琳派への注目度の高まりを背景に、根津美術館では2016年から古美術鑑賞の入門編となるような展覧会を開催しています。なんとなく敷居が高いと思われがちな古美術の専門用語を作品例とともにわかりやすく解説し、見る方の興味を広げ、古美術の面白さやすばらしさを体感していただけることを目指しています。
書の中でも特に写経と墨蹟の見どころを名品で学ぶ本展は、「絵画の技法と表現」(2016)、「紙の装飾」(2017)、「漆の装飾と技法」(2018)、「絵画のテーマ」(2019)、「人をえがく」(2021年)に続く6回目となります。
関連催事

当館ホームページの「イベント情報」の申し込みフォームからお申し込みください。先着順で定員になり次第締め切ります。5月27日(火)午後1時より受付開始。参加は無料ですが、美術館入館料が必要です。
同時開催展
展示室2 大津絵 つくられ方・たのしみ方京都と大津を結ぶ街道の土産物として親しまれた大津絵。その制作の様子や、さまざまな享受のされ方を紹介しつつ、所蔵の大津絵を初めてまとめて披露します。

鬼の念仏図 1幅 紙本着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
大津絵の人気画題の一つで、柄にもなく殊勝な様子を表す。初代根津嘉一郎は、昭和初期の民藝運動における大津絵の再評価をうけ、茶会の寄付でこの作品を用いた。
展示室5 特別仕様の美術品収納箱
美術品の収納箱の中には、所有愛にあふれる、こだわりの装飾が施されていることがあります。普段展示される機会のない、その美しい収納箱を主役にご紹介します。

焼締茶碗 銘 武蔵野 収納箱 1合 木胎漆塗 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
蓋表に平蒔絵で大胆に配された大きな満月と繊細な秋草。内に収まる茶碗の銘にふさわしい、武蔵野を象徴する意匠である。
展示室6 風待月(かぜまちつき)の茶
風待月とは旧暦6月のこと。蒸し暑さのなか、涼風を待つこの季節にふさわしい異称です。風を感じる季節の茶道具約20点を取り合せます。

青磁透彫二階香炉 龍泉窯 1口 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵
底が高い位置にあることから、茶人・小堀遠州(1579~1647)によって「二階香炉」と箱書きされた香炉。脚部には透し彫りで蓮唐草があらわされる。
企画展「はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-」開催概要

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