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AIに仕事を奪われないために。身につけるべき「ほんとうの教養」

物事の本質は見えていないところにある。

■情報処理ではAIに勝てない

 書店の店頭には、AIをテーマとした書籍が多く平積みされている。今後、AIが人間の脅威となるのではないか、AIの普及によってたくさんの人が失業するのではないかといったことをテーマとしたものがほとんどだ。

 情報処理に関して、人間はAIに太刀打ちできない。最近では、情報処理どころか将棋や囲碁のような複雑な戦略が求められるゲームでも、最も強い人間が勝てなくなるほどだ。人間は、高度な思考力で自然を支配してきた。だから、思考力で上回る存在が現れれば、人間のほうが支配されるかもしれないという恐怖感が生まれるのは当然である。
 
 実際のところ、SF作品でよく描かれるように、高度なAIが人間を支配するような未来世界が実現されるのかどうかは、わからない。いずれにしても、これからの世界を生きていくにあたって、AIと向き合っていかなければならないのは確かだ。

 人間がAIに淘汰されない思考力を磨くために必要とされるのは、与えられた情報を正確に把握して、分析、処理するという力ではない。一見したところ役に立たない知識を学ぶことで、今ある情報の見えないところに隠されている、物事の本質を見抜く力こそ、必要とされるだろう。

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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