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女性社員の本音「リーダーや管理職にはなりたくない」

なぜ、職場改革をしても、社員は辞めていくのか?(後編)

■中高年社員を活かしきれない現状

 失業率が低下し、ほぼ完全雇用の状態が続いています。多くの企業では人手不足に加え、層として薄い20代後半~30代を補充するため、中途採用に力を入れています。

 その一方で、社内でダブついていると言われている40~50代が戦力外通告を受けたり、リストラの対象になったりしています。彼らのやる気がそがれるだけでなく、会社が外から人を採ろうとしているのを見て、会社への不信を募らせています。

 これは正しい人事戦略とは言えないと思います。人手が足りないのであれば、まずは今いる社員を最大限に活用すべきではないでしょうか。今いる社員が生き生きと活躍しているからこそ、外からも魅力的な職場と映り、転職者にも受け入れられるのです。

 長年その会社に勤める40~50代の人材は、会社の価値観を共有し、自社ビジネスにも精通しているという強みがあります。彼らの個性や強みを活かし、適材適所で活躍の場をつくることで戦力化していくことは十分可能だと考えられます。

 中高年社員を切り捨てようとする会社の姿勢は、彼らのモチベーション低下よりも、もっと深刻な問題を引き起こします。そういう会社の姿勢を賢い20代や30代もちゃんと見ているということです。

 若い世代は、「想定路線から外れた社員を会社は簡単にあきらめる」というメッセージを受け取ることになります。失敗すれば会社から戦力外通告を受けると知れば、会社の未来を担うはずの若手たちは、リスクを冒してまで挑戦することに躊躇するでしょう。忠誠心を高く持って、会社の未来のために活躍する人がいなくなってしまうかもしれません。

 会社が進める職場改革の課題をご紹介してきましたが、ここで取り上げた例は全て、チームや組織があるべき姿からズレたときの軌道修正の話に終始しています。つまり、職場改革とは名ばかりで、その場しのぎの絆創膏のようなもので、根本的な問題の解決に至っていないケースが多いのです。

 その理由は、職場にどんな問題があるのか、何のためにその改革を行うかということが、現場に届いていないからです。会社が目指す職場の「あり方」が共有されず、手法やテクニック、制度など「やり方」だけが現場に降りてくることに問題があります。そして、そのことによってもっとも苦労しているのは、会社と現場の板挟みになる管理職なのです。

初出:『なぜ、職場改革をしても、社員は辞めていくのか?(後編)』ほんきになるWEB 2016年8月29日配信記事を、改題し再構成しました。

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前川 孝雄

まえかわ たかお

(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師

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1位

「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベスト新書)

大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「上司力研修」「育成風土を創る社内報」「人を活かす経営者ゼミ」などを手掛け、約300社で人が育つ現場づくりを支援。自らも年間100本超の講演、TV番組、雑誌に出演。YAHOO! 「前川孝雄の人が育つ会社研究室」など連載も数多く持つ。


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