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脳性麻痺の彼女が障がい者専門デリヘルで働く理由

第3回 障害者の「性」

■「抱きしめられたい」と言っていた彼女が「抱く側」に

 

 障害のある方を顧客対象(専門)とした障がい者専門デリヘル「はんどめいど倶楽部」で働くまゆみさんだが、彼女自身もまた身体に障害をもっている。

 昨秋、障害者の恋と性についての特集が組まれた番組内で、自身のそれらエピソードを語っていた。

 まゆみさんは、「この人なら障害をもつ自分のことを受け入れてくれる」と思っていた人と肉体関係をむすぶに至るが、その際に相手の男性から心無いひどい言葉を言われ、深く傷ついてしまう。まゆみさんは番組の最後に、「誰かそばにいてほしい。壊れるほど抱きしめてほしい」と、切なる心の叫びを話されていた。

 ところが「抱きしめてほしい」と語っていたまゆみさんは、前述のデリヘルでデリヘル譲として働くことになる。なぜ「抱きしめられたい」と言っていた彼女が「抱く側」になったのか? 障害を持つ身体で風俗の仕事をすることに不安はなかったのか? などの疑問をぶつけてみた。

 まゆみさんは、子どもの頃から性に対して興味が強く、風俗の仕事やそれに就くことに抵抗もなく、やってみたいとさえ思っていたという。不安がなかった訳ではないが、不安な点はすべてデリヘル店オーナーに尋ねた。そしてもしそこでオーナーに「その身体で何ができるのか?」と言われれば、この話はここで終わっていたかもしれないが、オーナーは「キャストが障がい者でも良いのではないか?これこそ真のバリアフリーではないか?」と思いが至り、デリヘル譲まゆみさんが誕生することとなった。

 まゆみさんは「抱きしめてあげる」ではなく「一緒にあたたかくなりましょう」というスタンスで仕事をしていきたいという。この時点でまだまゆみさんは、実際に仕事には就いておらず、体を重ねる性的サービスの感触が体感としてつかめてないのではないか?と思ったのだが、オーナー曰く「店のコンセプトが恋人同士のような関係をキャストとお客様で作り上げていくこと、というのもあるからマニュアルはない。ふつうの恋人同士だってそうじゃないですか」と言う。

 しかし、自由の利かない身体で裸で見知らぬ人と密室に入るということに、危険や不安はないのか?という疑問が根強くあった為しつこく聞いてみたところ、完全予約制をとっていて、エントリーシートに自己の諸々を記入した上に面接をし、オーナーが客の安全性を判断してOKが出て初めてサービスを受けることができるシステムであることや、顧客に介助の必要性がある場合やキャストの安全面を考慮して、オーナーも同行し近くで待機する(オーナーはもともと介護福祉士として働いていた経験も持っている)。

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善光 てら

よしみつ てら

障害者や介護や女性ならではの、さまざまなモノ・コト・ヒトについて書く。



乳癌サバイバー。介護福祉士。


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