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新薬の登場でうつ病患者が急増した

「あなたは“うつ”ではありません」産業医の警告9

うつ病の診断基準が過剰に広げられるきっかけには、新薬の販売が日本で開始され、普及していったことにある。こう警鐘を鳴らすのは、「産業医」(※事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられる)として多くの企業でメンタルヘルスの面談を行う山田博規氏だ。山田氏が3月に刊行し話題を呼んでいる『あなたは“うつ”ではありません』から紹介する第9回。
【本書(編集部注:本記事)はうつ病を治すためのノウハウを紹介する類の本ではありません。むしろ現在うつ病の投薬治療を受けている方にとっては、受け入れがたい事実がたくさん書かれているかと思います。

 ですが、くれぐれも自己判断で現在処方されている薬の量を減らしたり、服用を止めたりしないよう、お願いします。

 抗うつ薬をはじめ、精神科で処方される薬は、一般的な薬と比べて体に強く作用するものが多いため、自己判断で減薬したり服用を止めたりすると、体調を悪化させるおそれがあります。

 安易な診断でうつ病にされている人が多くいるのは事実ですが、本当にうつ病で苦しんでいる人がいることもまた事実です。】

【新薬の登場でうつ病患者が急増した】

気分障害【うつ・躁うつ病等】の総患者数

 

 グラフ(気分障害【うつ・躁うつ病等】の総患者数の推移)をご覧ください。注目していただきたいのは、うつ病等の気分障害の患者数が21世紀以降に急増している点です。

 21世紀以前には、患者数にそれほど変化は見られません。

 しかし、21世紀に入った平成14年度(2002年度)調査では、患者数が一気に71万1千人へと急増しています。

 では、そのわずか3年の間に、いったい何が起こったのでしょうか。

うつ病患者急増の直接的な原因は、DSMが日本の精神医学界で市民権を得て、うつ病の診断基準が過剰に広げられたことにあるのですが、そのきっかけとなる出来事が2000年前後に起こっています。

 それは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という種類の抗うつ薬の販売が日本で開始され、普及していったことです。

SSRIは、当時欧米では、うつ病の特効薬であるかのように喧伝されて、世界的に大ヒットしていました。それが少し遅れて海外から日本に入って来たというわけです。

 なお、このSSRIがどのような薬であるかはのちほど詳しく紹介します。ここではそういう種類の抗うつ薬があることを知っていただければ十分です。

さて、ここまでの話を聞いて「特効薬のような新しい薬が日本に入ってきたなら、日本のうつ病患者は減るはずでは?」と疑問に思われた方もいることでしょう。

 確かにその通りです。特効薬の登場によってその病気の患者数が急増するというのは、明らかにおかしな話だと言えます。

 しかし、日本のうつ病患者がSSRIの販売開始以降に急増しているのは、まぎれもない事実です。

 そこには、イギリスのグラクソ・スミスクライン(GSK)社やアメリカのイーライリリー社などをはじめとする海外の大手製薬会社の大規模なマーケティング戦略が関係しています。

 

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山田 博規

やまだ ひろき

1959年生まれ。1984年神戸大学医学部卒業後、住友病院内科勤務。1987年神戸大学医学部第三内科医員。1991年医学博士。2001年医療法人善仁会理事 大橋クリニック院長。2009年山田内科羽田腎クリニック院長。2011年日本医師会認定産業医に。2012年には、厚生労働省から労働衛生コンサルタントとして公認。その後、日本サムスン、オートバックス、浅草今半、千代田食品、日洋、海自検定協会、ジャパンディスプレイなど、さまざまな企業の産業医として、メンタルヘルスの問題を抱える多くの働く人々との面談を行っている。


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