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神奈川県大磯町「大磯の左義長」(さぎちょう)
素朴な民間信仰と盛大な道祖神の火祭り

日本の祭りを撮る!〜第1回

photo-4/大泊地区のお仮屋。奥は熊野神社

 

 

 

 

 

 

 

Photo-5/浜野町のお仮屋で遊ぶ子供たち。賽銭箱の奥が道祖神。

Photo-6/七所参りをする町の人

 大磯に来てみると伝承通り左義長の前日までの2日間は、9地区の内8地区に小さなお仮屋が建ち、道祖神の祠がそれぞれの地区の神社から移されて置かれる。お仮屋に籠もるのはオカリコと呼ばれる小学生たち。御簾(みす)を下ろして中でゲームをしたり、お菓子を食べている。町の人たちは七所参り(ななとこまいり)とお仮屋を次々と詣でて巡り、八つ目を「七所参って八所 (やあとこ) せ」とはやす。お仮屋の前にある賽銭箱に小銭を入れると「ありがとうございます!」と声がして子供が御簾から顔を出すのが可愛い。賽銭は子供たち分けるそうだ。
 

Photo-7/子の神(ねのかみ)地区のお仮屋。

Photo-8/夜、オカリコが家々を巡り「ご繁昌、ご繁昌」と唄い門付けをする。

 このお仮屋、翌日の日の出と同時に解体される。正月飾りは次々と浜へ運ばれる。地元の中学生、地区の人たちで高く積み、ワラを巻いたサイトという山が9カ所にできる。サイトの中心はオンベという先に飾りをつけた長い竿。同じ時、長者町、浅間町、子の神の3地区の神社では小さなお宮を縄でぐるぐる巻いた仮宮を作り舟形の山車に乗せる。昼頃になるとサイトと仮宮が完成する。

 

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芳賀 日向

はが ひなた

1956年長野県生まれ。日本写真家協会会員。日本・世界の祭り、芸能を48ヵ国にわたり取材。『週刊朝日百科 日本の祭り』シリーズ連載(朝日新聞社)、『日本の祭り』監修(旅行読売出版)ほか。芳賀ライブラリー代表。


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