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25歳で脱サラし、「天才」落語家・立川談志に弟子入りするまで

大事なことはすべて 立川談志に教わった第1回

   * * *

 まずは、落語家になるにはどうしたらいいかというところから、説明しましょう。
 不況が長引くご時世からか、「落語家になりたい!」という奇特な人がどうやら増えているようです。まあ、自分も二十数年前はそんな若者だったのですが。パナソニックが大リストラを迫られたりする世の中です。大企業とて安心とは言い難い経済状況では、自棄になる気持ちもよくわかります。
 むろん、すべてがそんな理由ではないのでしょうが、組織に属していると「好きなことをしゃべってお金がもらえる」世界にかぎりない憧憬を抱くのでしょうね。他人の芝生は、とことん青く見えるものなのかもしれません。

 

 さて、東京で落語家になりたいという希望を持った場合、まずはおおむね「落語協会」「落語芸術協会」「五代目円楽一門」、そしてわれらが「立川流」、この四団体の「真打ち」とよばれるランクの落語家に入門しなければならないのです。「円楽一門」はともかく、「落語協会」と「落語芸術協会」という二大メジャー団体に比べれば、「立川流」はマイナー団体、インディーズであります。自虐的に「立川流は落語界の北朝鮮」と呼んだりもしているくらい、生前の師匠談志は弟子に厳しい修業を強いることで有名でした。
 そうなんです!「弟子入り」とは、まず「修業」。
 修業とは、ズバリ言えば「地獄」なのです。くわしくは、のちのちたっぷり語ります。

次のページ「君が落語家になりたいという気持ちを俺は否定できないんだ」

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立川 談慶

たてかわ だんけい

昭和40(1965)年長野県上田市(旧丸子町)出身。1988年慶応義塾大学経済学部を卒業後、㈱ワコールに入社。セールスマンとしての傍ら、福岡吉本一期生として活動。平成3(1991)年4月立川談志門下へ入門。前座名立川ワコール。平成12(2000)年12月、二つ目昇進、談志より「談慶」と命名。平成17(2005)年4月、真打ち昇進。平成22(2009)年から二年間、佐久市総合文化施設コスモホール館長に就任。平成25(2013)年、「大事なことはすべて立川談志(ししょう)に教わった」(KKベストセラーズ)出版、以来、「落語力」「いつも同じお題なのになぜ落語家の話は面白いのか」「めんどうくさい人の接し方、かわし方」「落語家直伝うまい!授業のつくり方」「なぜ与太郎は頭のいい人よりうまくいくのか」「人生を味わう古典落語の名文句」など「落語とビジネス」にちなんだ書籍の執筆。NHK総合「民謡魂」BS日テレ「鉄道唱歌の旅」テレ朝系「Qさま!」CX系「アウトデラックス」「テレビ寺子屋」などテレビ出演も多数。現在、東京新聞月一エッセイ「笑う門には福来る」絶賛好評連載中


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  • 2013.07.13