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悩みから開放されて安楽を得るには?哲学者「ピュロン」に学ぶ

天才の日常~ピュロン篇

いまも語り継がれる哲学者たちの言葉。自分たちには遠く及ぶことのない天才……そんなイメージがある。そんな「哲学者」はいかに生き、どのような日常を過ごしたのか? ピュロン編。

■「究極の答え」は存在するのか?

 

 人は何故、何のために生きるのか。世界の始まり、そして終わりはどのようなものなのか……。生きていく中で、多くの人々を悩ませる難問である。哲学者、文学者、宗教家、芸術家、科学者たちは、この簡単に答えられない難問に対して答えを出すため、必死に取り組んできた。

 なんとかしてある答えにたどり着いたとしても、やがて他の者が否定し、乗り越える答えを出してしまう。その答えもまたいずれ否定され、乗り越えられてしまう。

 絶対に正しい究極の答えがわかれば、人間は悩みから解放されて生きていけるようになるだろう。だが、ある答えが提示されてもそれがやがて否定されてしまうのであれば、人間は永久に悩みから解放されることはなく、苦しみ続けることとなる。

 古代ギリシアの哲学は、自然界の正しい姿を知り、その背後にある根源的な原理を知り、正しい生き方を知ることを目指していた。だが、哲学者たちがどれだけ時間と労力をかけて議論を尽くしたところで、全ての者が一致できる真理に到達することはなく、議論は果てしなく続いていった。
 
 しかし、そもそも「答え」などあるのだろうか……?

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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