【うつ病診断の驚くべき実態。「診断書は電話で話しただけで書きました」】 | BEST TiMESコラム

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うつ病診断の驚くべき実態。「診断書は電話で話しただけで書きました」

「あたなは“うつ”ではありません」産業医の警告2

「うつ病の休職中にローンを組んで、家を建てた社員」という実例に続く第二回。
「あなたはうつ病ではありません」
 自分がうつ病かもしれないと思って精神科を訪れた患者に、そんな言葉をかける精神科医は、まずいない――。そう断言するのは「産業医」
(※事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられる)として多くの企業でメンタルヘルスの面談を行う山田博規氏だ。
 なぜなのか。
 山田氏が3月に刊行し話題を呼んでいる『あなたは“うつ”ではありません』では「精神科医の安易なうつ病診断が、労働の現場にさまざまな問題を引き起こしている」と指摘し、「現在のうつ病のパラダイム(大多数の精神科医の間で共有されている、うつ病に対する考え方)を変えない限り、今後もうつ病に関連するさまざまな問題が怒り続ける」と警鐘を鳴らす。

 山田氏が見てきた現場におけるモラルハザードともいえる事態を『あなたは“うつ”ではありません』より紹介する。
【本書(編集部注:本記事)はうつ病を治すためのノウハウを紹介する類の本ではありません。むしろ現在うつ病の投薬治療を受けている方にとっては、受け入れがたい事実がたくさん書かれているかと思います。
 ですが、くれぐれも自己判断で現在処方されている薬の量を減らしたり、服用を止めたりしないよう、お願いします。
 抗うつ薬をはじめ、精神科で処方される薬は、一般的な薬と比べて体に強く作用するものが多いため、自己判断で減薬したり服用を止めたりすると、体調を悪化させるおそれがあります。
 安易な診断でうつ病にされている人が多くいるのは事実ですが、本当にうつ病で苦しんでいる人がいることもまた事実です。】

 

【「DSM」の問題点】

 DSMは「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の略であり、日本語では「精神障害の診断と統計マニュアル」などと訳されています。
 アメリカ精神医学会によって出版されている書籍であり、1952年に発表されたDSM‐Ⅰ(第1版)以来改定を重ねてきました。現在世界中で診断基準として使われているものはDSM‐5(第5版)です。

 日本では1982年にDSM‐Ⅲ(第3版)が翻訳されて以来、徐々に精神科医の間に浸透し、21 世紀に入ってから主流の診断基準となりました。

 

 DSMとは、図のように「ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分(もの悲しさや絶望感)」や「ほとんど毎日の不眠または過眠」、「ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退」といった複数のチェック項目があり、患者の訴える症状がそれにいくつ当てはまるか、どの程度あてはまるかで精神疾患を診断するというものです。これを「操作的診断」と言います。

「あなたは”うつ”ではありません」より。

 うつ病に関して、このDSMの問題点をひと言で言うと、うつ病の診断基準を広げ過ぎていることです。
 すなわち、DSMに機械的に従えば、健康な人でもうつ病患者だと診断されてしまう可能性があるのです。
 あるいは、うつ病だと診断して欲しければ、インターネットや書籍等でDSMについて少し予習をしていくだけで、簡単にうつ病の診断書を手に入れることができるとも言えます。
 常識的に考えて病気ではない田中さんがうつ病と診断されたのも、DSMによってうつ病の診断基準が過剰に拡大されているからこそなのです。

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山田 博規

やまだ ひろき

1959年生まれ。1984年神戸大学医学部卒業後、住友病院内科勤務。1987年神戸大学医学部第三内科医員。1991年医学博士。2001年医療法人善仁会理事 大橋クリニック院長。2009年山田内科羽田腎クリニック院長。2011年日本医師会認定産業医に。2012年には、厚生労働省から労働衛生コンサルタントとして公認。その後、日本サムスン、オートバックス、浅草今半、千代田食品、日洋、海自検定協会、ジャパンディスプレイなど、さまざまな企業の産業医として、メンタルヘルスの問題を抱える多くの働く人々との面談を行っている。


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