■似通っているハリルジャパンとマインツでの境遇

 自身がクラブ最多得点者(リーグ7得点、カップ戦をあわせると9得点。いずれもブンデスでプレーする日本人選手の最多得点でもある)だという自負があるから、武藤は納得できないのだろう。
 だからこそ、前線が孤立している戦況を見て自分の判断を尊重したのも理解ができる。しかし、監督がどう思ったのかは、わからない。

「ゴールを一番とっているのは僕ですから。でもベンチスタートになってしまう。ロングボールを前線に蹴るだけの攻撃では、得点機も作れないし、ボールロストの機会も増えるから、うしろの選手もやっぱりイライラするはず、だから、僕は中盤に降りて、(味方の)FWと(相手の)DFの間に顔を出して繋いでいくことのほうが有効だと思う。今日も最後にはチャンスが増えいた。とにかく、前を向いてやるしかないですね。メンバーを決めるのも監督だから」

 武藤がマインツで立たされている境遇は、日本代表とも似ている。
 ハリルホジッチ監督も1トップには「動かない」ことを求めている。だから、岡崎慎司や金崎夢生という動くことでDFに勝ってきた選手の選外が続いているのだろう。

 しかし、彼らはただ、動き回っているわけではない。もっとも重要視しているのは「動きの質」だ。下がって好機を作り、そのうえでゴール前にも顔を出す。そんな動きの質を上げることで得点を決めてきた。それは武藤とて同じだろう。そして、そのことを彼自身も理解しているに違いない。

 

「もちろんW杯に行きたいという気持ちもあるし、選ばれないことでの辛さがないと言えばウソになる。でも選ばれていない人は他にもいるから。僕だけが悲しい想いをしているわけでもない。まずはマインツを残留させること。ここでどれだけ活躍しても呼ばれないこともある。選手を選ぶのは監督。どういう選考基準かというのも定かではないから、とにかくやり続けるしかない。自分のベストを尽くして、いい結果を出して呼ばれなかったらしょうがない。W杯のためにサッカー選手になったわけではないし、W杯が無くてもこれからサッカー人生は続く。もちろん諦めることもないし、とにかくひたむきにがむしゃらに最後まで粘ります。そのためにも、まずはやっぱり自分自身のゴールとマインツの残留にすべてを掛ける。そこからW杯のチャンスをうかがいたい」

 チーム状況を考えれば、この時期をチームで過ごすのも悪いことではないだろう。武藤の目指す打開策をチームメイトと共有する時間にもなる。

「まずは先発で起用してもらえるように。途中からだとチャンスも少ないから。そこは練習からアピールしていきたい。ここ2試合がベンチスタートだったからといって、下を向いたらそこで終わり。監督は僕のそういう姿、メンタルも見ていると思うから。とにかくポジティブに行くしかない」

 第27節が終了し、マインツは入れ替え戦を戦う16位に立つが、自動残留が決まる15位とは勝ち点差が並んでいる。そして、17位のケルンとの勝ち点差は5ポイント。連勝できれば状況が一変する可能性もある。だからこそ、武藤の爆発への期待は大きい。
記者のペンが止まった……「取材対応」をとおして見える岡崎慎司の並外れた