北海道の近代を開いた最古の鉄道 国鉄手宮線【後編】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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北海道の近代を開いた最古の鉄道 国鉄手宮線【後編】

ぶらり大人の廃線旅 第23回

■遊歩道になっており、所どころにベンチが

稲穂付近のベンチ

 線路は右へ緩くカーブしていくが、遊歩道らしく所どころにベンチなどが設けてあるのが嬉しい。観光客だけでなく市民も散策や犬の散歩など日常的にこの道を歩いているのは、やはり自動車に煩わされない安心感と緑の多い公園的景観、ひいき目で見ればレールの残る廃線の懐かしさなどが相まって人を引きつけている側面もあるだろう。

 平成29年(2017)7月に日本経済新聞が「廃線ランキング」を行った。選定にあたっては私も協力した企画だが、フタを開けてみるとこの手宮線が第1位であった。もちろん誰もがすべての廃線を歩いたわけではないのだが、藪こぎが必須だったりする多くの廃線に伍して手宮線が堂々トップの座に就いたのは、ロケーションも良く気軽に歩けるにもかかわらず、本物の線路が残っているからだろう。おまけに終点の手宮には鉄道車両を多く収める小樽市総合博物館が待っているから、これは納得できる。ちなみにこの時のランキングで第2位は高千穂鉄道(宮崎県・日本一高い橋梁がある)、第3位は同和鉱業片上鉄道(岡山県・動態保存を行っている)であった。

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今尾 恵介

いまお けいすけ

1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。 膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会委員。主著に『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修/新潮社)『新・鉄道廃線跡を歩く1~5』(編著/JTB)『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』(JTB)『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み1~3』『地図で読む昭和の日本』『地図で読む戦争の時代』 『地図で読む世界と日本』(すべて白水社)『地図入門』(講談社選書メチエ)『日本の地名遺産』(講談社+α新書)『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)『日本地図のたのしみ』『地図の遊び方』(すべてちくま文庫)『路面電車』(ちくま新書)『地図マニア 空想の旅』(集英社)など多数。


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