■今こそ思い出したい、ジョブズの徹底的なユーザー視点

 ジョブズのものづくりの根底にあるのは「自分たちが心の底から使いたいものをつくる」です。アップルⅡでは10歳で初めてコンピュータに触れた自分を思い出し、「プログラミングくらいちょっとやってみたい」人のための使いやすいコンピュータを目指し、マッキントッシュでは「自分たち自身が欲しい製品」を目指しています。それはiPоdの時もiPhоneの時も同様で、「自分ならどうすればこの製品を使う気になるか」「自分たちが使いたいと思う電話をつくろう」がコンセプトになっています。

 そこにあるのは徹底した「ユーザー視点」であり、「優れた製品がすべて」という考え方です。株式市場において企業は売上や利益で評価されますが、売上げをもたらすのは製品であり、その製品を買ってくれる一人一人のユーザーであること、そしてもし製品やユーザーよりも金儲けを優先させたなら企業は失速するということをよく知っていたからこそジョブズはユーザーが心の底から欲しいと思う製品づくりを目指し、数々の革命によってアップルを世界屈指の企業へと成長させることができたのです。

参考文献 『スティーブ・ジョブズ偶像復活』(ジェフリー・S・ヤング、ウィリアム・L・サイモン著、井口耕二訳、東洋経済新報社)、『スティーブ・ジョブズ』Ⅱ(ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳、講談社)、『ジョブズ・ウェイ』(ジェイ・エリオット、ウィリアム・L・サイモン著、中山宥訳、ソフトバンククリエイティブ)、『iPоdは何を変えたのか?』(スティーヴン・レヴィ著、上浦倫人訳、ソフトバンククリエイティブ)