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中央線の新たな魅力、新型あずさの旅

新型スーパーあずさで新宿~松本間を楽しむ

 2017年12月23日、新型車両E353系を使ったJR中央東線の特急「スーパーあずさ」が華々しくデビューした。この車両の量産先行車は2年以上前に公開されていて、その後、試運転を繰り返すばかりだったので、一体どうなったのかと気をもんでいた。実は、試運転を繰り返しながらデータを集積し、改良を加えた量産車製造へと慎重に準備をしていたとのことで、登場してみると、素晴らしい車両だとあちこちで絶賛されている。なるべく早く乗らなくてはとスケジュールを調整し、始発駅の新宿駅から終点の松本駅まで全区間を走破することにした。

 冬の穏やかに晴れた朝、まずは新宿駅で松本発の「スーパーあずさ4号」の到着を出迎えた。先頭の中央部は真っ黒で、大きく書かれたE353の文字が目につく。いかつい表情で、今までの車両とは一線を画すような現代風ないでたちだ。サイドは一変して白(南アルプスの雪色を表現)が主体で、窓付近はキャッスルグレー(松本城の青味がかった漆黒をイメージ)、窓の上の方に「あずさ」の伝統色であるバイオレットのストライプが入るというなかなか洒落たデザインである。秋田新幹線「こまち」のE6系、豪華列車「四季島」と同じく奥山清行氏がデザインしたと聞けば、なるほどと思う。

新宿駅に停車中のE353系スーパーあずさ

 この車両が、そのまま「スーパーあずさ11号」松本行きとなって折り返す。清掃作業があるので、お預けを食った犬みたいにホームで待たされる。

 乗車したのは1号車。といっても松本行きの先頭が12号車なので最後尾の車両になる。車内に入ると、淡いブルーのシートが目に飛び込んできて、爽やかな印象だ。夏だったら信州の高原を散策しているような涼しげな雰囲気。冬でも寒々しい感じはしない。普通車とはいえ、シートに可動式の枕が付いていて、E5系など最近の新幹線車両並のグレードだ。平日だったので、指定席は意外に空いていて、隣は終点まで誰も座ることがなかった。

E353系普通車の車内
 
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