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住んでいる場所で人の運命や人生は決まる

世界はフラット化できない。

フラットを目指す新人類

 グローバルな人材になりたいと思っても、住んでいる場所で人の運命や人生、生き方はほぼ決まるのだ。日本に住めば日本語を読むのが楽で、話すのも聴くのも楽。お笑いは楽しいし、本を読むのも楽しい。ネットニュースも日本語ならスラスラ読める。仕事だって日本語なら能力をフルに発揮できる。そういった日本語能力は素晴らしいことで、人生を謳歌する最大の要因でもある。

 ただ、未来の日本人には、島国だからこその進化の余地が残されている。それは、英語を外国語だと思わないように育つことだ。 親が英語圏の場合、たとえ日本でも子どもは英語を母国語として育つ。同時に日本語も覚えていく。日本語の学校もしくはインターナショナルスクールという環境によって、どちらかに偏ったりするのを整えながら、バランスをとって育っていく。

 子どもが英語を母国語としてスムーズに受け入れた場合、アニメや本も英語で接し、また日本語でも接する。将来はサイトニュースを英語でもストレスなく読んで接することができるし、日本の番組も楽しめる。英語の友人がいなくても、仕事相手がいなくても、海外に旅行することがなくても、英語は使う。英会話の学校にも日本語会話の学校にも通うことなく、ただ使う。その脳内が、グローバルであり、フラットであり、進化と言えるのだ。人間の脳の進化だ。

 今は日本人の大人にとって、英語の幼児教育は「日本語の劣化」つまり脳の劣化を連想させるが、0歳から同時に2カ国語に接する子どもは見事に使い分けて学んでいく。大人が思うほど能力は低くないのだ。能力が低いと思うのは、大人が英語習得に苦労したからだと断言できる。 たとえ日本人の両親でも、0歳からの英語と日本語の母国語化はできる。幼児が使う簡単な英語から、日本人の親が一緒に英語を学んでいくのだ。

 そのためには「英語は難しい」という思い込みを捨て、ただ子どもが英語でコミュニケーションをとる機会を家庭内に作ってあげることだ。子どもはテレビやビデオで英語を勝手に学んでいくし、日本語はもう一人の親やお爺さんお母さん、幼稚園などで学んでいく。英語が得意ではない親が英語を子どもに教える必要はない。間違っていてもなんとか意思疎通すればいい。日本語でもそうだから。 英語を得意としない大人たちは英語でコンテンツを消費しようとはしない。かえって苦痛だからだ。しかし、2カ国語を母国語とした子どもたちは、勝手に2言語でコンテンツを猛烈に消費する。そうやって、あとは勝手に言葉を覚えていく。そのうち親に教えてくれるようになるだろう。 

世界はフラットにならない?

 その問いは、クルマの例ととればイエスだ。しかし、この極東の島国に閉じこもり、グローバルな脳に進化することはできる。それは、「英単語をたくさん覚えました」「文法をたくさん理解しています」ということではない。「英語を訳すのが得意です」ということでもない。

 自分が興味を持つコンテンツを、そのもう一つの言語で楽しめるかどうかということだ。英語で本を読むときに、訳さずに、英語の順通りにただ単語を読んで理解し、楽しめるかどうか。Youtubeで英語の動画をみて、心から楽しめるかどうかだ。英語のバラエティ番組を字幕なしで笑えたら、あなたは脳はフラット化に少しだけ近づいている。

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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