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「JKビジネス」女子がみんな欲しがるモノ

「セックスワークサミット2017秋 」第3部レポート 第3回

性風俗で働く人のための無料生活・法律相談サービスを行っている「風テラス」。その活動に携わる弁護士の安井飛鳥さんより、近年メディアなどで関心が高まっている「社会的養護」の現状と、性風俗との関係について語っていただいた。「セックスワーク・サミット2017」第3部より。 第2回〈児童福祉と少年司法の狭間で苦しむ子ども達〉に続く第3回。

●「風テラス」でしていること

 

 風テラスの実践についてお話します。風テラスでは弁護士とソーシャルワーカーがタッグを組んで、性風俗の世界で働く女性たちの法律問題から生活の悩みまで幅広く相談を受けています。誤解されがちですが、決して性風俗をやめさせて公的支援につなぐための取り組みではありません。性風俗で働いていることを前提とした相談で、あくまで本人の目の前の困りごとに対応する、というスタンスで関わります。支援をする中でその人が性風俗をやめるという選択をするのであればその選択を尊重しますが、こちらから強く促したりはしません。

 性風俗で働く女性の相談というと、何やら凄惨な、貧困の極致みたいな相談があるのではないか、といったイメージを持たれる人がいるかもしれませんが、実際の相談内容自体は、借金、離婚、子育て、養育費の請求、就労など、普段私たちが日頃の相談業務で受けているようなものとほとんど変わりがありません。そもそも性風俗で働いている女性が皆生活に困窮しているわけでも、支援を必要としているわけでもありませんし、嫌々働いているわけでもありません。

 また性風俗で働く女性たちは、福祉につながる機会がなかった人と思われがちですが、必ずしもそうではありません。むしろ、過去に何かしらの相談機関に関わっていたり、既に弁護士に依頼をしている人も少なくありません。ではなぜあえて風テラスに相談するのかというと、性風俗で働いていることを福祉機関や弁護士には言いづらいから。性風俗で働いていることを否定されるかもしれない、悪く思われるかもしれないという不安から状況がややこしくなっているという方が多い印象です。つながっているはずの支援者がつながり切れていない、支援者側が性風俗を蔑視しすぎることが、かえってそこで働く人たちを支援から遠ざけて生きにくくさせてしまっているようにも思います。また、相談される女性の中には生活保護や福祉制度を利用したいという人もいるのですが、こうした人たちが実際に制度を利用しようとするとこれがなかなか使いづらい。福祉機関側の支援者に性風俗の就労実態が理解されていない。性風俗が就労と認められない。福祉の制度や支援が性風俗で働く人たちのニーズにマッチしていない。社会福祉と性風俗の溝の深さを感じます。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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