現役をしながらセカンドキャリアを生きるということ【プロサッカー選手・岩政大樹の現役目線】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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現役をしながらセカンドキャリアを生きるということ【プロサッカー選手・岩政大樹の現役目線】

僕はJリーガーには向いていなかった

Jリーガーに向いていなかった僕

 決断したのは2017年が明けるかどうかの時だったと思います。山口の実家に家族と帰っていた僕は、このアイデアを最も推進していけるクラブとして、東京ユナイテッドを選択しました(他にもたくさんの理由が絡んでいますが、ここでは省かせていただきます)。

 サッカー選手としての再スタートを切るのと同時進行で、色々なことが動き始めました。決断するまでは何がどうなっていくのか真っ白だったものが、次から次へと動いているうちにどんどん塗りつぶされていきました。
 最初は不安ばかりの中で慌ただしく新たなことにチャレンジしていきました。一年が経ち、やっと色々なことを冷静に見られるようになってきましたが、それでも毎日慌ただしく過ごしていることに変わりはありません。

 解説者にしても、コーチにしても、連載や本を書くことにしても、今年始めた仕事はどれも「これだけやったらいい」という”終わり”がありません。時間が許す限り、より良い自分にしていくための準備をしなくてはなりません。僕は、それらを時間で区切りながら、そのどれも突き詰めていこうと一年を過ごしてきました。

 これを一年間続けてきて、今、僕は一年前の選択を「良かった」と思っています。

 サッカー選手をやめるかどうか悩む年頃になると、いろいろ人から「やれるまでやった方がいい」と言われます。「絶対に後悔するから」と。しかし、僕はこれまでJリーガーをやめたことを後悔する気持ちに一度もなっていません。むしろ、Jリーガーという仕事は本当に僕に向いていなかったんだな、と感じています。

 Jリーガーをしているときは毎日が劣等感との戦いでした。その戦いの中で成長できたことは今の僕の全てになってくれていますが、もう僕はその毎日を生きるだけの力が残っていなかったのだろうと思います。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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  • 岩政大樹
  • 2017.09.19