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障害を負い見え方が一変した世界での恋愛

第2回 障害者の「性」

「ある日突然、世界の見え方が一変したら……」事故で障害を持つようになった女性にとって、異性との関わり方はどのように変ってしまったのか。話を聞いた。

事故後の我が家は別世界だった

 

 事故に遭い半年後に戻った我が家は、車椅子の希さんにとって別世界だった。車椅子生活となり目の高さが五十~六十センチ低くなって視界が変わった為だ。二十年近く住む我が家も、視界が変わるとまるで全く違う家のようになる。

 希さんは退院してから、家に引きこもるようになってしまった。外出することにはかなりの抵抗があった。常にジロジロと見られ、面倒くさそうな顔をされたり、差別的な態度を感じ取ることがあったからだ。また受傷時は、今以上に社会のバリアフリー化がなされていなかったということも大きな理由としてある。

 しかしそんな希さんの元へ、かねてからの友人たちが遊びにくるようになり、程なくして外へ連れ出してくれるようになる。外出といってもバリアフリー化がなされていない町や建物がほとんどだったので、どこかへ行く、ということは出来ずに、ドライブ中心の外出となった。だが希さんにとってはそれが好都合だった。人目につかずに済むからだ。

 希さんは、週末に連れて行ってもらえるドライブや友人達が家に遊びにきてくれることが、次第に生きがいとなっていった。友人たちは「希は希だから」「生きてくれているだけで嬉しいから」と、受傷前と変わらぬ友人関係を続けてくれた。

 そんな友人の中に、のちに人生の伴侶となるヒカルさんがいた。ヒカルさんとは中学生の頃からの友人で、クラスは違うが高校も同じ。その頃からよく知る遊び仲間だった。ヒカルさんは、退院後も他の友人達と同じく、よく家に遊びきてくれた。ヒカルさんはそんな友人たちの一人だったが、気づくと希さんの隣に一番いるのがヒカルさんだった。

 
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善光 てら

よしみつ てら

障害者や介護や女性ならではの、さまざまなモノ・コト・ヒトについて書く。



乳癌サバイバー。介護福祉士。


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