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東海大が目指す箱根駅伝。そこには〝世界〟を目指す「ストーリー」があった。

箱根駅伝ノート 第2回

 

 今年6月、両角監督に箱根駅伝の目標を尋ねたときには、こんな答えが返ってきた。「今回も総合10 位かなとは思います。それは仕方ないんじゃないでしょうか。もちろん、打倒・青学大を掲げていますし、12 月に入ってしっかり準備できて、運が良ければ勝てるでしょう」と。そこで3連覇中の青山学院大に勝つためには、どうしたらいいのかも聞いてみた。

「箱根の2区経験者が3人(川端、春日速人、關)もいるのは、どの大学にも前例がないでしょうし、 それがうちの強みではあると思います。全日本予選のように、主力抜きでもそれなりに戦えるだけのチームになってきました。2区、5区などは、トラックとの掛け持ちではうまく対応できないと思っています。選手層の厚さを生かして、主要区間を走る選手は、そこに向けてきっちり仕上げていきたい。箱根駅伝オンリーの選手とトラック経由の選手が噛み合っていけば、総合優勝を目指して戦っていけるのかなとは感じています」

 關、鬼塚、館澤、阪口らスピードを武器とする2年生世代は、大学卒業1年目に東京五輪を迎える。關はいう。「箱根で優勝したい、という思いもありますが、個人としてオリンピックを目指せる競技力を4年間でつけていきたいんです」と。その〝思い〟に対して、両角監督も応えるつもりだ。

「私はスピードのある選手を育てよう、という信念を持っていますし、本人たちの特徴を伸ばすことを考えながらやっています。スピードのある選手はトラックを意識して、その他の選手たちは、夏から箱根用のトレーニングにシフトしてきました。両者の力がうまく噛み合えば、箱根駅伝もおもしろいと思います」

 箱根駅伝で悲願の初優勝を目指す東海大。その裏には〝世界挑戦〟への明確なストーリーが描かれている。

(『箱根駅伝ノート』より構成)

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酒井 政人

さかい まさと

1977年生まれ、愛知県出身。「箱根」を目指して東京農業大学に進学。1年時に出雲駅伝5区、箱根駅伝10区に出場。2年時の故障で競技の夢をあきらめて、大学卒業後からスポーツライターに。陸上競技をメインに取材して、様々なメディアに執筆している。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』(角川新書)、『箱根駅伝監督 人とチームを育てる、勝利のマネジメント術』(カンゼン)、『東京五輪マラソンで日本がメダルをとるために必要なこと』(ポプラ新書)。


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  • 酒井政人
  • 2017.12.19