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「日本のパパが家事育児をしない」根深い理由

【ワンオペ育児】を藤田結子氏が徹底解説2/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます 

父親が家事育児をしないのは会社の長時間労働が原因?

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シズカ…ワンオペ育児は圧倒的に女性に多いとしたら、その原因の一端は家事をしない男性にもあるわけよね。なぜ日本の男性って家事をしないのかしら?

藤田(結子:明治大学教授。著書に『ワンオペ育児』がある)…そうですね。大きな理由のひとつは、日本はまだまだ社員に「長時間労働」を強いる会社が多いということです。たとえば、EU政府が定める「労働時間指令」では、時間外労働の上限を1週間8時間としています。一方、日本政府が検討している残業時間の上限は年間平均60時間、繁忙期は100時間となっています。

トオル…それで家に帰ってきて家事を手伝うなんてかなりしんどいよ。長時間労働反対!

シズカ…残業100時間って、普通に過労死ライン超えてるし……。少なくとも子どもが起きている時間には帰ってこれないわね。どうしてこんなに労働時間が長くなっちゃうのかしら。

藤田…これまで日本企業が培ってきた雇用慣行もあるのでしょう。日本の会社は、正社員として採用されれば数年ごとに部署移動があり、その都度職務内容も変わるのが一般的。これは、転職を前提としない働き方であり、社員は一度その会社に組み込まれてしまえば、会社の要請に従わざるを得ない状況になりやすい。そうした中で、自分だけ残業を断るなどしたら出世コースから外れてしまうことも多々あるのです。

トオル…家族のために稼ごうって思ったらやっぱり頑張って昇進したいところだよね。でもこんなんじゃ、子どもが生まれたとしても、働く時間を減らすことは難しいよ。

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藤田 結子

ふじた ゆいこ

明治大学商学部教授。東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒、米国コロンビア大学大学院で修士号を取得後、英国ロンドン大学大学院で博士号を取得。2016年から現職。専門は社会学。調査現場に長期間、参加して観察やインタビューを行う研究法を用いる。日本や海外の文化、メディア、若者、ジェンダーなどについてフィールド調査をしている。著書に『ワンオペ育児』(毎日新聞出版)など。


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  • 藤田 結子
  • 2017.06.21