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マヌスのカカオをチョコレートにする準備

PNG(パプアニューギニア)マヌス島のカカオ 第7回

銀座「エスキス」のシェフ・パティシエである成田一世が、収穫からサロン・ド・ショコラ出展までチョコレート作りの全行程をレポートする連載です!

カカオが日本に到着!

 

 待ちに待ったカカオ豆が日本に到着した。今年は試験的に6日、7日、8日、9日と発酵日数を変えた4種類の豆を送ってもらったのだが、日数が短く発酵が若い豆は 香りに酸味がなく醸造香が感じられる。それがどうだ、9日間じっくりと発酵させた豆はしっかり酸味も感じられ 、自分の求めている香り
がした。
 カカオは発酵がうまく進んでいないと、乾燥の工程で納豆菌のような培養香を感じることがある。これでは失敗だ。けれど 、今年はそのような香りは皆無だった。というより、今回のマヌス島滞在中 、島全体に腐敗やカビを思わせるようなネガティブな匂いが感じられなかったのだ。カカオに悪影響を及ぼす菌がほとんどいないのではないかと島の魅力を再認識した。

 

  カカオ豆は 、ローストした後に皮を剥く。この皮を剥いた状態がカカオニブだ。その際、豆の先にある小さな芽も取り除く。後々チョコレートを作る際に味わいの邪魔となる苦味の要素となるからだ。
 カカオニブには脂肪分であるカカオバターが約55%含まれているため 、石のローラーですりつぶしていくとペースト状のものが出来上がる 。しかし 、焦りは禁物。粒子にばらつきが出ないよう徐々にローラーの隙間を狭めながら、3日ほどかけて直径40ミクロンほどの細かい粒子を含む均一なペーストに仕上げる 。これがチョコレートの原料 、カカオマスとなる。

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成田 一世

なりた かずとし

銀座「エスキス」シェフ・パティシエ。「ピエール・エルメ・パリ」「ジョエル・ロブション」などで腕を磨き’12年に帰国。現在に至る。’17年「ASIA'S BEST 50 RESTAURANTS2017」にて「Asia's Best Pastry Chef」受賞。


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