紛争「中」のDDR。前例なんてほとんどなかった

ーーギャングのプロジェクト含め、今取り組んでいる活動は、他国の国際協力の具体例から学んで取り入れたんですか?

 分野として前例がほとんどなかったので、それはできませんでした。もちろんDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)分野の文献は一通り読みましたが、それらは何千人の部隊を動員して行うものですし、何よりも紛争「後」の活動です。ソマリアやナイジェリアでやらなければならないのは紛争「中」のDDRなんです。

 そもそも武装解除を行うためには基本的な条件が三つあります。①和平合意があること、②最低限の治安、③各アクターの統一的な意思ですが、ソマリアの場合、これらが一つとしてないんです。にもかかわらず、紛争「中」に武装解除して、過激派組織やギャングたちを社会復帰させなければならない。DDRの常識から言えば、本来やるべきことではないことを、やらざるを得ない。

 前例がないので、どこかの組織のやり方をそのまま取り入れるということができません。

 僕たちは自分たちで状況把握・ニーズ把握・プランニングしてトライ・アンド・エラーを繰り返していくしかないんです。とは言え、僕たちだけでやっているというわけではありません。ソマリア最前線のモガディシュではイスラム武装組織「アルシャバーブ」向けのDDRをやっていますが、ここではアメリカの元ネイビー・シールズで構成されたコンサル会社と、ソマリア政府と組んでいます。「Movement with Gangsters」では地域のメディカル・クリニックや、現地の若者組織と連携して、話し合いの場を設けていますね。

インタビュー第二回「国際協力=ユニセフに抱く違和感。日本に足りない“イシュー・ファースト”」に続く。