2020年教育改革「主体的に学ぶ子」はどこまで育てられるか? | BEST TiMESコラム

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2020年教育改革「主体的に学ぶ子」はどこまで育てられるか?

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第1回

◆成果が見えなかった班学習

 私は英語の教師だったが、低位の高校で教えていた当時、かなりの期間にわたり班形態による授業をしたことがある。

 発言競争の形を執(と)ることが多かったが、それはもちろん、積極的な授業参加を期待したからである。五人ずつ机を向き合わせて座らせ、班を主導する班長を決めさせ、班員の一人ひとりに発言点を決めさせた。

 英語が比較的得意な子、また、発言するのが好きな子は一点、英語が苦手な子や発言に消極的な子は3点、その中間の子は2点といった具合である。持ち点は一班につき一票の多数決で決めた。

 私が授業をしながら質問をしていくわけである。細かいことは忘れたが、各班は一時限に10点以上取ることをノルマにしたと思う。
 生徒は手を挙げて答える前に、自分の持ち点をいう。私が「ハイ、2点」と確認してから生徒が答える。
 私は生徒の答えを受けて、ポイントを確認しながら授業を先に進める。たまに生徒が持ち点をいい忘れたときは、班の点に加算されないルールにした。

 そして、他班の生徒の答えへの反論や教師への質問は、内容が間違っていても点数は倍にした。そういうとき、私は「ハイ、3点→6点」と確認してから発言させる。

 ゲーム的な要素が強いし、班の点数が10点を超えているかどうかは班員の成績には一切関係させなかった。10点を超えるかどうかは彼らのプライドないし意欲の問題にすぎない。

 私は能動的な学習というより授業を活発化させ、生徒たちの授業の参加を積極化させるためにやった。

 その意味では、授業の展開は一見活発化し、生徒たちも授業に集中しているように見えた。教師が喋って主導する静かな授業よりは活き活きして見えたし、楽しそうだった。

 では、生徒たちの学力は上がったかと問われるとそれほど確信はなかった。班授業をやめてしばらく時間が経つと、色々と考えること、反省することが多くなってくる。

 授業内容は上っすべりしていて、生徒たちに必ずしも定着していなかったのではないかという疑問のほうが増えてきた。これがきっかけで、勉強の根本は個人個人の内面の的営みであると考えるようになった。

『教育改革の9割が間違い』より構成>

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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  • 哲二, 諏訪
  • 2017.10.10