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あまり勝ちすぎると歴史に残らない・槇島城

鈴木輝一郎 戦国武将の史跡を巡る 第35回

岐阜在中の歴史作家・鈴木輝一郎がゆるりとめぐる、戦国武将の史跡。
つい見落としてしまいがちな渋い史跡の数々を自らの足で訪ね、
一つ一つねぶるように味わい倒すルポルタージュ・ブログシリーズ開幕!

「足利義昭VS信長 決戦の地!」って……どこ?

 今回の京都取材の目的のひとつが槇島城跡訪問。場所は京都の南・宇治市です。現地の人によれば京都市と宇治市は別物だそうですが、部外者からみるとあまりかわらないっす。

「槇島城の戦い」はあまり知られていないかな? 
 織田信長と足利義昭の最終決戦です。織田信長がこの戦いで足利義昭を追放し、名実ともに天下人となりました。

 あと、この戦いのときに秀吉は「木下」から「羽柴」へと改姓したようです。
 重要な割にあまり知られていないのは、戦う前から勝敗のわかりきっていてあまりドラマチックじゃなかったからでしょう。織田信長軍7万に対して、足利義昭軍は2千ぐらいだったらしい。

  槇島城は大小の河川に囲まれた中洲にあった、そこそこ堅牢な城だったらしいんですが、埋め立てられ、その当時の面影はほとんどありません。ちいさな児童公園に碑が建っているだけ。

 

 住宅街のどまんなかで、しかも普通自動車が1台、やっと通れる狭い道幅。そのうえけっこう交通量が多い。この写真を撮るの、けっこうたいへんだったんですよ。

 

 槇島城の外堀になっていた宇治川は、川幅だけならそこそこの規模なんですが、水位の増減が激しいらしい。

『信長公記』ではかなりの流量にはばまれて立ちすくむ織田軍を、信長が叱りつけて馬を川に乗り入れたんだそうです。

 さて、おまけに宇治の平等院。

 ちなみに宇治の平等院は戦国とはまったく関係ありません。なんでこの写真を撮ったかというと、今回も若干写真が地味だったからです……。

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鈴木 輝一郎

すずき きいちろう

作家

1960年岐阜県生まれ。小説家。歴史小説『浅井長政正伝』『戦国の凰 お市の方』など著書多数。2008年には著作が50冊に達した。

日本推理作家協会・日本文藝家協会・日本冒険作家クラブ会員。


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