カカオ豆を包む白い果肉、口に入れてみると…… |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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カカオ豆を包む白い果肉、口に入れてみると……

PNG(パプアニューギニア)マヌス島のカカオ 第4回

銀座「エスキス」のシェフ・パティシエである成田一世が、収穫からサロン・ド・ショコラ出展までチョコレート作りの全行程をレポートする連載です!

いよいよ収穫!

 カカオの実は熟したものから収穫していく。熟したかどうかの判断基準は、まず大きさだ。ラグビーボールのような形をしたカカオの実はカカオポッドと呼ばれる。このカカオポッドが長さ20cmくらいの大きさになると、表面が汗をかいたようにつやが出て、ぬめりをもってくる。

写真:photolibrary

 カカオポッドを割ってみると中には白い果肉が詰まっている。カカオ豆はこの白い果肉、カカオパルプに包まれているのだ。カカオパルプがライチのように半透明になって、口に入れてみて美味しく感じられれば実が熟した証拠だ。味は、そう、ちょっと酸味のあるナタデココのような繊維質のイメージだ。

 さて、熟したカカオのようすがわかったら、似たような大きさや見た目のものを収穫していく。竹の先を割りY字型にしたもので、カカオポッドのヘタの部分を挟み、へたをからませ折り取るのだ。男性がカカオポッドを落としていくと、女性や子供がそれを集める。そして、その場でカカオポッドを割り、カカオパルプを取り出してゆく。

 昼間は暑くてたまらないので、だいたい朝方か夕方の作業になる。集めたカカオパルプは、バナナの皮を敷いた発酵箱に入れる。毎日、熟したものを収穫していたら、今回は600キロのカカオパルプが集まった。発酵箱は仕切りで4つに分かれている。一つの仕切りの容量は300キロだから2つ分だ。
 チョコレートの原料作りの第一段階、カカオの発酵が始まった。

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成田 一世

なりた かずとし

銀座「エスキス」シェフ・パティシエ。「ピエール・エルメ・パリ」「ジョエル・ロブション」などで腕を磨き’12年に帰国。現在に至る。’17年「ASIA'S BEST 50 RESTAURANTS2017」にて「Asia's Best Pastry Chef」受賞。


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