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信長VS秀吉VS家康。我々凡人が見習うべきは誰?

大間違いの織田信長⑧ホトトギスの歌でわかる!? 誰が本当の天才か

秀吉はイノベータ―?

 秀吉です。信長の「殺す」は決心、家康の「待とう」は根性です。才能は関係ありません。秀吉の「鳴かせてみよう」だけは、工夫が要ります。才能、イノベーションが要るのです。

三英傑 豊臣秀吉

 もちろん、信長だって工夫していますし、根性もあります。家康だって同じ。秀吉だって、信長以上に残虐なときもあれば、家康と忍耐合戦で勝ったこともあります。厳密に三人の人生を表した歌ではありません。それを踏まえても、よくできた歌だなと思います。

 秀吉は本当に天才で、次から次へと予想もつかないことをやりました。なにぜ、「日本で一番出世した人物」ですから。秀吉がやったことを現代におきかえると、貧乏人のフリーターが三十年で大財閥の社長になってしまうような夢のまた夢の話なのです。その人はそれで上手くいったかもしれないけれども、普遍性はゼロで、誰にも再現できません。

 秀吉の天才ぶりを物語る話を一つあげましょう。有名な刀狩と同時にやった、海賊停止(ちょうじ)令です。現在の国際法でこそ「海賊は人類の敵」という扱いになっていますが、近代以前は「海軍と商船と海賊は同じもの」です。貿易船など、「取引が成立しなければ、その場で海賊に早変わり」というのが世界的な傾向です。それを秀吉は、「海賊は存在そのものを認めない」との立場を打ち出し、本当に実現したのです。これにヨーロッパが追いついたのは、一八五六年パリ条約。クリミア戦争の講和条約ですが、この戦争の最中にペリーが日本にやってきています。秀吉の先進性は、世界標準から三百年早いのです。

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倉山 満

くらやま みつる

憲政史研究家

1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。

1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。

在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。

著書に、『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(光文社)『日本人だけが知らない「本当の世界史」』(PHP研究所)『嘘だらけの日米近現代史』などをはじめとする「嘘だらけシリーズ」『保守の心得』『帝国憲法の真実』(いずれも扶桑社)『反日プロパガンダの近現代史』(アスペクト)『常識から疑え! 山川日本史〈近現代史編〉』(上・下いずれもヒカルランド)『逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった』(ハート出版)『お役所仕事の大東亜戦争』(三才ブックス)『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』(青林堂)『大間違いの太平洋戦争』『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』(いずれも小社刊)など多数。

現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」(https://kurayama.cd-pf.net/)や「チャンネルくらら」(https://www.youtube.com/channel/UCDrXxofz1CIOo9vqwHqfIyg)などで積極的に言論活動を行っている。

 

 

 

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