【福島県「地名」ケンミン性】湿地帯「フケ島」から福島へ! 「会津」は将軍たちの「出会い」の由来《47都道府県「地名の謎」》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【福島県「地名」ケンミン性】湿地帯「フケ島」から福島へ! 「会津」は将軍たちの「出会い」の由来《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_福島県


 日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。
 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️
 本日はみなさんとともに福島県「地名」の旅です。


■縁起の良い名前に転訛

一切経山からの五色沼

《福島県の由来》地名由来のフケを福に

 天正18年(1590年)より会津を治めていた蒲生氏郷の客将である木村吉清は、文禄元年(1592年)信夫郡(現在の福島市)5万石の領地を与えられる。このとき居城とした杉目城の名を「福島城」と改めたことが地名の由来。改名の理由は定かではないが、湿地帯を意味する「フケ」が由来という説も。阿武隈川に近接し、周辺には「フケ島」ともいうべき地形が形成されていたことから、縁起のよい「福島」に変えたと推察される。


《地名の由来》

◉会津(あいづ)将軍たちが出会った地

 崇神(すじん)天皇の時代、北陸道を平定するために下向した大毘古命(おおびこのみこと)と、東海道を経て派遣された建沼河別命(たけぬなかわけのみこと)の親子が、この地で出会ったことに由来。古くは「相津」と書かれていたが、のちに「会津」へと変化したといわれている。

 

◉喜多方(きたかた)会津の北にあったから

 ラーメンで知られる町・喜多方。会津地方の北部にあることから、古くから「北方」と呼ばれていた。「喜多方」に変わったのは明治8年(1875年)で、一帯の5村が合併するにあたって、「喜びが多い」という意味を込めて「喜多方町」と名づけられた。

 

◉郡山(こおりやま)郡の役所があった場所

 「郡」と書いて「こおり」と読む地名は全国に多数存在する。国郡里制に基づいた「郡」の役所「郡衙(ぐんが)」が置かれた場所につけられる地名で、「郡山」の場合、陸奥国安積郡に郡衙が置かれたことから命名されるに至った。

 

◉勿来(なこそ)「来るな」ということ

  奥羽三関のひとつに数えられる「勿来関」に由来。「勿来」の語源としては、「来てはいけない」を意味する「な来(こ)そ」で、「さえぎる」を意味する「関」と同義語となることから、「関」の枕詞として広く用いられた。

人口4万人余りの町に、100軒以上もの店がある喜多方。提供/福島県観光物産交流協会

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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