《失われつつある留萌本線ノスタルジーな旅》ハゲから増毛へ念願のコースがついに成就?【女子鉄ひとりたび】19番線 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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《失われつつある留萌本線ノスタルジーな旅》ハゲから増毛へ念願のコースがついに成就?【女子鉄ひとりたび】19番線

すべての鉄道を乗りつぶした唯一の女性芸能人が行く北海道の旅・続編


元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”『女子鉄ひとりたび』著・木村裕子より)。本線とは名ばかりのミニ路線「留萌本線」の留萌から先の残りの部分は「海線」と呼ばれる閑散とした区間で、だからこそ鉄道ファンを強く惹き付ける路線だった。滅びゆく運命の「哀しみ本線日本海」を満喫する真性・鉄子の前に、ふと現れた驚くべき人物。これは運命? 宿命? それとも単なる偶然なのか?


NHK連続テレビ小説「すずらん」のロケで使われたセットが残る明日萌(あしもい)駅こと、留萌(るもい)本線・恵比島(えびしま)駅。実はホントの駅舎は右側の車掌車を再利用した質素な簡易駅舎だけ。2021年の3月にはこの駅も廃止される予定

■これはもしや、運命的な出会いかしら?

 留萌(るもい)駅。列車に戻ると、男性に声をかけられた。
「やぁ! また会ったね」
 振り返り、顔を見て、車内いっぱいに聞こえるほどの驚きの声を上げてしまった。
 60代と見受けられるこの男性は、前日に乗った日高(ひだか)本線で同じボックス席となり、談笑した一期一会の旅人同志さん。
 この方は、愛媛県から礼文(れぶん)島へ3か月の移住生活中だった。定年退職を迎え、今まで仕事を頑張った自分へのご褒美(ほうび)とのこと。
 せっかくなら北海道をもっと知りたいと、数日、島を離れて列車旅をしていた。
 日高本線の終点の様似(さまに)駅から、襟裳(えりも)岬へ一緒にバスで向かい、男性はお土産屋で「えりも岬」と大きく書かれたTシャツを購入していた。
 内心、「そのTシャツはいつ着るんですか?」と聞きたかったが、事情は人それぞれ。深入りはやめておこう。
「またいつか会えるといいですね。お元気で」と握手を交わし別れたのだ。
 それなのに、24時間後に370キロ以上離れた場所でまた巡り会うとは!

 以下、この男性を仮名で「礼文さん」と呼ばせていただこう。
 こういう再会は、数日にわたって乗り鉄をしていると、たまにある。ほとんどの場合は言葉を交わさず、お互いアイコンタクトで「昨日も会いましたね」と意思疎通をする。必要以上に関わりを持たないのが、鉄道ファン界の暗黙のルールだ。
 でも私は人とのふれあいが好き。礼文さんと、あえて同じボックス席に座った。
 留萌を出ると日本海沿いの区間を走り、阿分(あふん)駅へ。この駅も元は仮乗降場(注)の質素な駅だ。到着前の自動アナウンスで、
「次は、アフン~、アフン~です」と、何ともセクシーな響きの案内が流れた。礼文さんも同じことを思ったのだろう。目が合って2人でクスクス笑った。

2016年に廃止されたばかりの阿分(あふん)駅。背後の小学校も少子&過疎化により廃校

 終着の増毛駅。〝ぞうもう〟と書いて、〝ましけ〟と読むなんて。ハイセンスの極みだ。
 以前、高知県の半家(はげ)駅へ行ったときは、ハゲのカツラを持参した。今回は、髪を両手で持ち上げて「ぞうもう」と言い、駅名標のとなりでポーズを撮る。
 シャッターを切って下さった礼文さんは、髪がフサフサだ。何の気兼ねもなく、
「ぞうもう! ぞうもう!」と連呼した。

(注)仮乗降場=JR発足以前に北海道に数多くあった「時刻表に載らないヤミの駅」。詳細は「地図にない駅」を参照のこと。

(20番線へ続く)

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■今年も鉄道物語in稲沢に出演させて頂きます

スギテツファミリーコンサート 鉄道物語in稲沢vol.3

日にち:2020年10月18日(日)
場所:名古屋文理大学文化フォーラム
料金:全席指定 2,000円(税込)
時間:15:00開演(45分前に開場)

私は大ホールのコンサート合間のトークコーナーに出演します!
今年は小ホールでのステージ開催はありませんが、状況によっては大ホールコンサートの開始前に小ホールで物販を行います。
その場合、決まり次第またお知らせします。


■な、なんとこの夏も、水間鉄道に「女子鉄ひとりたび」ヘッドマーク電車走った!

掲出日程:2020年8月11日~8月20日(10日間)
掲出車両:1003(青ライン/貝塚駅側)
走行日:8月11、12、13、16、17日


■「女子鉄ひとりたび」サイン本は完売! ブロマイド付は発売中!

イベント当日に来られなかった人のために、木村裕子さんが心を込めて、一冊一冊にサインを入れた本。
2019年の年末に限定部数で販売されていましたが、速攻で完売御礼!
なお3種類の「オリジナル・ブロマイドつき」の本は今も販売中ですので、お早く以下の書店へどうぞ。

販売場所:
書泉グランデ 6F鉄道コーナー
 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1丁目3-2
     
書泉ブックタワー 5F鉄道コーナー
 〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1丁目11-1

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木村 裕子

きむら ゆうこ

タレント

元・鉄道アイドル。現・鉄旅タレント。

愛知県名古屋市出身。所属事務所はオフィス北野→マセキ芸能社。 幼少期から鉄道が好きで、元JR車内販売員を経て、元祖鉄道アイドルとしてデビュー。2015年に日本の鉄道全線完乗を達成。国内旅行業務取扱管理者の資格を持ち、カルチャースクールで講師も務める。

現在は「アメトーク(テレビ朝日)」出演など、テレビやラジオなど幅広いメディアで活躍中。


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