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北朝鮮ミサイル発射 「40分飛翔」という情報から分かること

北朝鮮大陸間弾道ミサイル発射。軍事ジャーナリストの分析

軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏に聞く、北朝鮮ミサイル発射から分かること。

「火星14」とされるミサイルの発射映像。朝鮮中央テレビ(KRT)の映像より

 ――ミサイルはICBM(大陸弾道ミサイル)と考えてよいか。

区分けで言うとそうなります。

――今回の発射が意味するところとは。

北朝鮮が一番恐れるアメリカに対する「抑止力」。韓国のことはあまり考えていないでしょう。今回のミサイル発射はひとつのステップに過ぎず、アメリカが軍事行動を起こしてこない限り、今後も続くはずです。

――今回のミサイル「火星14」の特徴は。

5月14日に打ち上げられた「火星12」と同じく、液体燃料型の2段式ミサイル。射程距離は「火星12」の4500kmから6000kmに伸びています。この間に何かしらの技術の革新があったはずです。

――報道では、「40分飛翔」といった点が強調されていたが。

この情報は私の知る限り、日本政府、菅官房長官からの発表が一番早かった。当初のEEZ(排他的経済水域)にミサイルが落下、という速報では「何だ900kmぐらいの飛行距離なのか」という印象でしたが、続いて「40分飛翔」という情報が入り、相当な高高度、パワーを備えていることが分かってきたわけです。

――なぜ飛翔時間が重要なのか。

ミサイルの飛翔時間は高さに比例します。野球のボールの軌道を考えてもらうと分かりやすいですが、高く上げれば、落ちるまでに時間がかかる。今回の「40分飛翔」は要するにICBM級の時間がかかっている、それぐらいの高高度なわけです。射程距離はこれらの情報を物理方式に組み入れ、空気抵抗、重力といった要素も加味して求められます。

――今回のミサイル発射を受けて韓国が動く可能性は。

結局「何もできない」と思います。韓国は独自に軍備を整えて、韓国版ミサイル防衛や北朝鮮の核・ミサイル施設に先制攻撃を加える「キルチェーン」というシステムを作ろうとしてはいます。とくに「反米」スタンスの文在寅(ムン・ジェイン)大統領は韓国独自の自主防衛力の増強に積極的ですが、結局は北朝鮮が怖いのは強大な米軍であり、韓国軍ではありません。

 

 

 

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