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“インターナショナルスクール出身の日本人”は金のたまご? 経済界が重要視、文科省も無視できない理由

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第4回

◆人材としてニーズの高まるインターナショナルスクール出身者

 とはいっても、インターナショナルスクール出身者が学習指導要領を基本とする入試問題で日本の学校出身者と点数を争うのには無理がある。あるインターナショナルスクールの関係者は次のように説明する。

「たいていが、学科の点数ではなく能力で評価されるAO入試での入学ですね。大学側の方針が影響してくるわけですが、インターナショナルスクール出身者を積極的に受け入れる大学は増えてきています」

 こうした変化には、「経済界の要望」が強く影響している。発端となった規制改革3カ年計画にしても、経済界の声を反映したものでしかない。その規制改革3カ年計画が閣議決定されてから約2ヶ月後には、日本経済団体連合会(経団連)が「インターナショナルスクール問題についての提言」を発表している。

 

 提言は、「人材面での国際競争力の欠如は、企業が国際競争を勝ち抜く上で大きな足かせになることから、わが国企業においてもそうした人材に対するニーズが高まっている」と書いている。そして、インターナショナルスクールを教育の選択肢のひとつとすることは「個人のニーズ、企業のニーズに応えるとともに、ひいては国力を維持するという点においても非常に重要である」としているのだ。経済界は、インターナショナルスクールを積極的に利用しようとしている。その一貫として、インターナショナル出身者を日本の大学に迎え入れようとする動きがあったのだ。
 文科省が「いない」としているインターナショナルスクールに通う日本人は、これから、ますます増えていく流れになってきている。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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