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アフターコロナで求められる被雇用者像とは何か?【藤森かよこ】

2020年不穏な盛夏アフターコロナ対策本出版ラッシュ


 新型コロナ感染第2波真っ只中。書店にはアフターコロナ本が出版ラッシュだ。さて、そこにはどんな予測が溢れ、これからどんな能力が求められているのか? 著書『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』で〝世の中の真実〟と〝生きる糧〟を女性読者のみならず男性読者にも指南した藤森かよこ氏(福山市立大学名誉教授)が数多のアフターコロナ本の真実を読み解く!


■嵐の前なのか不穏をひめた盛夏

 8月に入ってもコロナ騒ぎが続いている。「感染者数」が毎日発表される。「感染者数」と「検査で陽性とされた人数」と「発症者数」の区別がわからないまま、実態がわからないまま、人々は不安に陥る。私は発表するのは「発症者数」だけでいいと思う。お役所的にはそうではないらしいが。

 政府の公式発表にせよ、大手新聞の報道からテレビ報道からネットニュースからYouTubeや、SNSで拡散されるものまで信用できなくなって久しい私は、いまだにコロナ危機騒動が自然災害なのか意図的な捏造なのかわからない。

 意図的な捏造だとしたら、その意図は一介の庶民の私には計り知れない。意図的な捏造をこうも大掛かりに展開する力には逆らう気力もない。「どこに連れて行こうとしているのですかねえ」と見物するだけだ。

 とはいえ、マスクは無意味かもしれないと思いつつ外出時にはちゃんとマスクをする。マスクなし人間に対する(捏造だとは夢にも思わない)人々の恐怖と怒りと不安を無駄に刺激するつもりはないから。不要不急の外出はいまだに控えている。ひょっとしたら、ほんとに自然発生パンデミックかもしれないから。

 コロナ危機第二波の襲来を予定された出来事のように語る人々がいる。コロナ危機が収まるのには数年かかると予測する人もいる。

 コロナ危機による移動制限や外出自粛要請や休業要請により、小売系、飲食店系、交通機関系、旅行系、イベント系などのICT系企業以外のビジネスの収益が減った。世界中で失業者が増えた。

 各国の政府は大規模な財政出動で国民の生活を守ろうとしているが、いつまで財政出動していられるだろうか。「大恐慌」が来るのだろうか。大恐慌の後は戦争という歴史は繰り返されるのだろうか。サイバー戦争なら始まっているらしいが。

 おりしも三峡ダム決壊を引き起こすかもしれない中国の長江流域の水害により中国の広大な穀倉地帯の被害は甚大だ。この影響が食糧難を起こし食品価格に反映するのは来年ぐらいか。

 

■ アフターコロナ対策本出版ラッシュ

 嵐の前の静けさのような不穏さをはらむ日本の盛夏に目立つのは「アフターコロナ対策本」の出版ラッシュだ。ムック本も雑誌の特集も多い。5月くらいからボチボチ出版され、7月になっていっぱい出版された。

 新型コロナウイルス自体のことはさておき、自然災害だろうが計画だろうがどっちでもよくて、ともかく変わってしまった世界にどう対処するかを論じた本がいっぱい出版されたので、私も興味津々何冊も読んだ。

 アフターコロナ対策本の著者は、経営コンサルタントとか経済系シンクタンクの幹部が多いようだ。著者たちは、オンライン化、リモートワーク化が新常態となり逆戻りすることはないと一様に断言している。

 すでに2017年に、苫米地英人の『2050年衝撃の未来予想』(TAC出版、2017)は、「職場の電子化」「書類や決算の電子化」「建物の電子化」「学校の電子化」は近未来では当然のことになると書いていた。

 資本主義体制はコスト削減による利潤増大を目論むのが当たり前なので、被雇用者は少なければ少ないほどいいので、そうなるのは当然のことだ。企業や役所や学校でのオンライン化やAI化やロボット化は21世紀の既定路線なのだ。資本主義体制のくせにデジタル後進国の日本はグズグズとしていたが、コロナ危機に否応もなく促され、やっと世界の既定路線に乗った。

 その共通認識のもと、アフターコロナ対策本は、新常態(ニューノーマル)の経営戦略や、そうした企業に適応できる被雇用者の持つべき属性や働き方を提示する。

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。

 

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