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成果をあげる社長は社員の不満を力にする。2流の社長は話も聞かずに抑えつける

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第2回

現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が考える、「正しいパート社員の働き方」とは。

「会社のルール」を教えることが戦力化の第一歩

 パートを戦力化できない理由のひとつは、「会社の方針・ルール」を教えていないからです。

 パートも「知らないこと」「知らされていないこと」があると、不満を募らせます。パートが頑張れるのは、「方針やルールが明確になっている」ことが前提です。

 私たちが野球を観て楽しめるのは、ルールがわかっているからです。

 もし、基本的なルールや用語を知らなかったら、どうして得点が入ったのかがわかりません。ゲームが進んでいくのをただ眺めているだけで終わります。

 ルールもスコアもわからない状態では、「頑張らないパート」がまともです。「0対0だから頑張るのか」「1対0で勝っているから頑張るのか」「0対1で負けているから頑張るのか」がはっきりしていなければ、頑張りようがありません。

 ですが、会社の方針、業績、目標をきちんと説明すれば、パートは、会社にとって最大の協力者になります。女性(武蔵野の場合、パートの9割以上が女性、しかも主婦です)は男性よりも責任感が強く、「ルールを守りながら成果を上げる能力」に秀でているからです。

パートの文句は、向上心のあらわれ

 パートが口にする文句には、「2種類」あります。

 ひとつは「後ろ向きの文句」。もうひとつは、「会社を改善してほしい」の前向きな文句です。「後ろ向きの文句」を言う人は、文句を言われる立場を体験させると、文句を言わなくなります。

 以前、内勤のパートのひとりが、「外回りの担当者は、サボってばかり」と文句を言うから、ダスキンのレンタル(配達)に「1日現場同行」をさせたことがあります。すると、お客様のところに走って配達するため、ヘトヘトになって、文句を言わなくなりました。

 反対に、外回りの担当者が、「内勤の人は、いつもエアコンが効いているところで仕事ができて、うらやましい」と文句を言ったときは、コールセンターで1日中電話を取らせた。ひっきりなしにかかってくる電話の応対が終わったとき、「2度とゴメンだ」と前言撤回しました。

次のページ文句を言うのは「体験がない」から

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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