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勘違いに注意! 死後の財産相続のために書くのは「遺書(いしょ)」ではない!

法律のプロが教える、相続と遺言の豆知識 第5回

なんと「遺言」は3種類ある

 さて、遺言の話に戻りましょう。一般的な遺言には自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言の3種類がありますが、よく使われるのは前2者です。おすすめは公的証書遺言。なぜなら、自筆証書遺言は、全文自筆であることや、間違いの訂正の方法など、ルールが細かく決まっており、無効となる落とし穴がたくさんあるからです。
 もっとも自筆証書遺言の方が適切な場合もあります。公正証書遺言の作成は財産額によっては数十万円もの費用が掛かります。遺言は何回でも書き直しができますが、書き直しをする度にこれだけの費用が掛かってしまうのはもったいないからです。
 ただし、核となる遺言を公的証書で作成し、メンテナンス的に発生する書き直しは自筆証書遺言で対応することも可能です。これなら、書き直しすることへの躊躇も少なくて済みますね。注意が必要なのは、書き直しによっても矛盾が生じない内容については、前に作成された遺言内容が依然として有効であるということです。

かかる手間や費用は、三者三様

自筆証書遺言の場合は、必要な記載事項がないと法的に無効になるほか、筆跡をまねて第三者が偽造したり、隠してしまったりすることがあります。このため、公証役場で公証人に作成してもらい、原本を公証役場が保管してくれる公正証書遺言の方が確実ではあります。

 

 

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長谷川 裕雅

はせがわ ひろまさ

東京永田町法律事務所代表。弁護士・税理士。早稲田大学政治経済学部を卒業後、朝日新聞社に入社。記者として多くの事件を取材する。その後、一念発起して弁護士へ転身。弁護士・税理士として争族と相続税をトータルに解決できる数少ない専門家として、相談者から絶大な信頼を集めている。主な著書に『磯野家の相続』(すばる舎)、『波平は「相続」であわてない! 磯野家に学ぶ33ヶ条』(文藝春秋)、『相続で泣きたくなければ不動産のしくみを知りなさい!』(PHP文庫)、『なぜ酔った女性を口説くのは「非常に危険」なのか?』(プレジデント社)などがある。


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  • 長谷川 裕雅
  • 2014.04.16