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ドルトムント、シャルケ取材で見た「レジェンド」の影

ドルトムント・香川、シャルケ04内田。取材でみえたもの

「変化」の激しいフットボールの中で

「1963年のチャンピオンズカップでベンフィカと対戦したんです。当時もアウエイでの第1戦で1-2と敗れていたんだけど、ホームでの第2戦で5-0と圧勝して勝ちぬけたんです。だから、今夜もということなんでしょうね」

 試合前にピッチで紹介されていた高齢の男たちは、当時の選手、レジェンド。南スタンドで掲げられたのは勝利を伝えるドイツ紙「キッカー」だった。
 そして、この夜、ドルトムントは4-0でベンフィカをくだした。55年前の快挙をまた、この夜再現させたのだ。50年以上も昔の話ではあるけれど、ドルトムントを愛する人々はその話に夢を託した(ちなみに1963-1964シーズンは準決勝でインテルに敗れている)。

 

 世界のサッカーは常にめまぐるしい変化を繰り返す。
 戦術、そのスタイルにはトレンドがあり、あるときは選手が、またあるときは監督が、それを牽引する。強いチームを倒すためには、チームは進化を恐れない。そして、同時に“過去”への敬愛を決して忘れない。
 100年以上の歴史を持つクラブが少なくないヨーロッパでは、スタジアムの至るところにレジェンドたちの写真が掲げられ、ヒーローたちの活躍は親から子へ子から孫へと語り継がれる。

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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