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「必要なもの」から捨てる技術【適菜収】 連載「厭世的生き方のすすめ」第25回

【連載】厭世的生き方のすすめ! 第25回


片づけても、なぜか息苦しい。モノを減らしても、自由になった気がしない。もしそう感じているなら、捨てる順番を間違えているのかもしれない。本当に手放すべきなのは「不要なもの」ではなく、「必要だと思い込んでいるもの」だ。作家・適菜収氏が整理術の極意を語った。当サイト「BEST T!MES」の長期連載「だから何度も言ったのに」が大幅加筆修正され、単行本『日本崩壊  百の兆候』として書籍化された。連載「厭世的生き方のすすめ」では、狂気にまみれたこのご時世、ハッピーにネガティブな生活を送るためのヒントを紹介する。


かつて放映されていたテレビ番組「巨泉のこんなモノいらない!?」の司会者・大橋巨泉

 

◾️まずは仕事をやめよう

 

 一昔前に断捨離が流行った。モノを捨てると心が軽くなる、人生が変わる、という類の話だ。たしかに理屈としてはわかる。不要なものを見極め、捨て、身軽になる。モノの呪縛から解放され、自由を手に入れる。モノを所有したくないという人は増えていると思う。私も、部屋にあったものはほとんど捨ててしまった。

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 ある作家が、モノを捨てる方法について書いていた。段ボール箱を2つ用意し、必要なものと不要なものを分ける。1年間、着なかった服、使う予定のないものは、もったいないと思うのはやめて不要の箱に入れる。そして何も考えずに捨てる。ここまではよくある話だ。

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 私が考えた整理術は、必要なものが入っている箱を先に捨てる。いらないモノを捨てても芸がない。「必要なもの」に囲まれて生きている限り、精神は拘束されたままだ。どうでもいいものに囲まれて生きるほうが楽しい。

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 スマホは今すぐにでも捨てたい。だが、なかなかそうはいかない。ごくたまに電話がかかってくるし、散歩の途中で気になったことをすぐ調べることができる。便利なものこそ厄介だ。だから早く捨てたい。

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 自宅の固定電話はとっくの昔に捨てたが、そろそろパソコンも捨てたい。いわゆるミニマリストは「モノにこだわらない美意識」みたいなことを言うが、そういうウザいものも拒絶したい。昔「巨泉のこんなモノいらない!?」というテレビ番組があったが、大橋巨泉もケント・ギルバートもいらない。

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 某所でこういう話をしたら「なんでも捨ててしまうと後悔しますよ」と言われた。たしかにそうだ。大切な書類や印鑑は捨てなければよかった。しかし、後悔するのはタダである。これまでも年賀状や手紙、名刺はすべて捨ててきたし、2024年の引っ越しの際には蔵書を全部人にあげた。私のメルマガの読者には、箱に詰めて着払いでプレゼントした。

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 先日、原稿を書いていて、昔書いた自分の本を参照したくなったが、捨ててしまったので手元にない。Amazonで買い直すのも馬鹿らしいので、参照するのをやめた。そういう感じで仕事も自然に縮小していき、今ではその成果も出てきた。要するにカネがない。

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 カネがまったくないのは困るが、たくさんはいらない。最高の贅沢には、ほとんどカネがかからない。世界最高峰の音楽はネットで無料で聴けるし、世界最高峰の文学は図書館で無料で読める。世界最高峰の絵はわずかな入場料を払えば美術館で見れる。一方、バカは大金を使って貧乏くさい生活をする。カネを払ってくだらない音楽を聴き、くだらない新刊本を買い、行列を作ってくそまずいものを食べる。そのカネを稼ぐために一生懸命働き、またカネを使う。こうした負のスパイラルから抜け出すためには、無職になるのが一番だと思う。

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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