松本人志の活動再開、松岡昌宏の疑問提起。キャンセル地獄から芸能の楽園を取り戻せ!【宝泉薫】「令和の怪談」(最終回) |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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松本人志の活動再開、松岡昌宏の疑問提起。キャンセル地獄から芸能の楽園を取り戻せ!【宝泉薫】「令和の怪談」(最終回)

「令和の怪談」ジャニーズと中居正広たちに行われた私刑はもはや他人事ではない(最終回)【宝泉薫】


曖昧な告発と世間の空気によって犯罪者にされたジャニー喜多川と、潰されてしまった事務所。その流れは、今年の中居正広、さらには国分太一をめぐる騒動にも引き継がれている。悪役を作って叩きまくる快楽。しかし、その流行は誰もが叩かれる対象になる時代の到来ではないのか。そんな違和感と危惧を、ゲス不倫騒動あたりまで遡り、検証していく。


松岡昌宏

 

最終回 

松本人志の活動再開、松岡昌宏の疑問提起。キャンセル地獄から芸能の楽園を取り戻せ!

 

 今回で第13弾となるこのシリーズは、ジャニーズ騒動を中心に、近年のスキャンダルをめぐる不可解な状況を読み解こうとするものだ。当初は単行本にする方向で発案され、その原型は昨年の12月にできあがった。その時点でまだ、中居正広とフジテレビをめぐる騒動は世に出ていない。

 ただ、方向性の変更により、今年5月、配信連載のかたちでスタートすることに。それゆえ『「令和の怪談」ジャニーズと中居正広に行われた私刑はもはや他人事ではない』というタイトルをつけてみた。つまり「怪談」とはもっぱら、上記のふたつの騒動を指していたわけだ。

 しかし、そこからさらに、もっと不可解なスキャンダルが起きた。国分太一をめぐる騒動だ。そこでタイトルも『「令和の怪談」ジャニーズと中居正広たちに行われた私刑はもはや他人事ではない』というものに変えた。国分については、本人が会見を開き、日本テレビ側の対応を明かしたことで「怪談」的な謎がますます深まったのではないか。

 

日本テレビ・福田博之社長

 

 そんななか、こんな声もあがるようになった。

 「何の説明もしないまま番組を降板させられるのであれば、国分さんの次は自分、その次は城島、世の中のタレントさんみんながそうなってしまうのではないか、という危惧があります」

 国分騒動によって解散する事態となったTOKIOの松岡昌宏が『週刊新潮』で語ったものだ。というわけで、連載最終回を迎えても、近年のスキャンダルをめぐる不可解な状況はまだ続いている。

 それでも、朗報がないわけではない。特に、吉本興業が立ち上げた配信サービス「ダウンタウンプラス(DOWNTOWN+)」によって松本人志が活動を再開できたことは明るい兆しだ。近年のスキャンダルにおいて、地上波のテレビが芸能を守る方向ではなく、もっぱら叩いてキャンセルする方向に動いたことを思えば、そういうものへの反撃ともいえる。

 

ダウンタウン

 

 実際、ダウンタウンプラスでは松本がベッキーをゲストに呼んだトーク企画で、中居正広を話題にした。有料サービスでのやりとりなので詳しくは書けないが、ふたりは「あの人」が仕切ってくれた食事会のエピソードを回想。肝心の「あの人」が店のドレスコードに引っかかって追い出された、という思い出を懐かしそうに振り返っていた。松本が、

 「なんでダメなんだべ、って言うてたよね(笑)」

 と付け加えたことで、中居のことだとわかる仕掛けだ。ダウンタウンプラスでは、松本をはじめとする出演者たちがただひたすら芸能をやっていて、そこが愉しく心地よい。地上波のテレビなども本来、このような芸能の楽園だったはずだ。このサービスが最終的に成功を収めれば、スキャンダル叩きとキャンセルが日常と化したメディア全体の風向きも少し変わるのではないか。

 なお、単行本にする方向で書いたものの原型には『ガラスの宝箱ジャニーズ騒動から2年、彼らの輝きを再び閉じ込めて』というタイトルが想定されていた。一年前に書いた、その「あとがき」をそのまま載せてみる。

次のページジャニーズを葬ったのは、世間の空気というやつだった

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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