「好き」と浮気男に翻弄された44歳独身女性が、母の死後に「ひとりが平気」と悟るまで【谷口友妃】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「好き」と浮気男に翻弄された44歳独身女性が、母の死後に「ひとりが平気」と悟るまで【谷口友妃】

ミドル独女~私たちのホンネ~ 44歳裕子さんの場合

▲「好き」を貫いて生きてきた女性が、母の死を経て辿り着いた境地とは ※写真はイメージ

「好きな人と結婚したい」その思いに忠実に生きてきた裕子さん(44歳)。浮気を繰り返す男性との5年間、そして母の死。恋愛での悩みが「小さなこと」に思えるほどの喪失を経験した彼女が、いま語る人生観とは。

当事者でもあるライターが、“ミドル独女”のリアルに迫る。


■好きな人と結婚したかった

 

 今回取材した裕子さん(44歳)は、ずっと恋愛結婚を望んできた。

 裕子さんは、特別養護老人ホームで介護士をしている。19歳から40歳までコンビニで店長代理兼マネジャーとして働いたあと、介護業界に飛び込んだ。

 長身で明るい髪色が印象的で、少しヤンチャなタイプに見えるかもしれない。しかし、喫茶店でコーヒーを飲みつつじっと私の目を見ながら話してくれた裕子さんは、不思議な落ち着きが感じられる女性だ。

 そんな裕子さんは、20代から恋に生きる人生を送ってきた。なかには、結婚・出産を考えた人もいた。いまも独身でいることは想定外だと語るが、どこから人生プランは変わっていったのだろうか。

 

■“マジでかっこいい彼氏”と付き合ってみたら

 

 裕子さんの人生に大きな影響を与えた存在。それは、25歳から付き合っていた隼人さんだ。

 隼人さんに初めて会ったときのことを聞いてみると、「マジでかっこ良かった」と、いまだに頬を緩ませる。隼人さんは、イタリアンの料理人だった。

 ふたりが出会ったのは、当時流行っていたGREEというSNSのオフ会がきっかけだ。最初は12人ぐらいの集まりだったが、同じ地域に住んでいたふたりは、やがて頻繁に会うようになった。第一印象が良かっただけでなく、一緒にいると楽しかったのだ。

 何となく付き合い始めたふたりの関係は、小さな愛のキューピットによって一気に進展する。

 ある日のデートでのこと、ふたりはペットショップに立ち寄った。そこにワンワンと吠えながらふたりを見つめる可愛すぎるワンコがいたのだ。ふたりは「飼いたいね」と盛り上がったが、隼人さんの一人暮らしの部屋はペット禁止。そこで、ワンコを飼うことをきっかけに、ペットが飼える部屋を借りてふたりで暮らし始めた。

次のページ裏切りの連続のなかで不安と闘う日々

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谷口 友妃

たにぐち ゆき

幼少期に父を亡くしシングルマザーの家庭で育つ。心臓病の母との生活で感じた社会の歪みや、働く意味を求めて天職探しをした経験などから「仕事と生きがい」、「幸せな社会のつくり方」などのテーマに関心を持つ。2014年から執筆業を始め、多様な業界で働く人を紹介する社内報の巻頭記事や医療情報の取材記事、介護問題を扱う著名人の連載インタビュー企画などを担当。過去に取材した人の数は2000人以上にのぼる。読売新聞オンライン、みんなの介護「賢人論。」などに記事を執筆。

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