フランス革命下においては、理性が神の位置に押し込まれた。

 マクシミリアン・ロベスピエール(一七五八~九四年)は、一七九四年六月八日、テュイルリー宮殿で「最高存在の祭典」を開きます。理性により社会を合理的に設計することを宣言したわけですね。ロベスピエールは「神が存在しないなら、発明する必要がある」と言いましたが、こうして理性は万能のものとして祭り上げられた。

 その結果、発生したのは地獄です。

 歴史家のモーゼス・フィンリー(一九一二~八六年)も指摘するように、民主主義が危険なイデオロギーであることは西欧では常識でした。だから、しばらく前までは、民主主義はアナーキズムと同様、狂気のイデオロギーに分類されていたのです。

 議会主義、および三権分立や二院制などの仕組みは、民主主義の負の側面を封じ込めるためのものです。哲学者のシャルル=ルイ・ド・モンテスキュー(一六八九~一七五五年)が制限選挙を説いたのも、民主主義の危険性を見抜いていたからです。

 権力は暴走します。

 だから権力は分散させなければならない。

 一院制を唱えるような人間(たとえば安倍)は、文明社会の成員の資格を欠いていると言わざるを得ません。

(※話題のベストセラー『安倍でもわかる政治思想入門』本文一部抜粋)

 

著者略歴

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)など著書多数。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が発売即重版。全国書店、Amazonにて好評発売中。