小泉進次郎総裁候補が進める「給付型税額控除」は貧乏人に優しいか?【密着自民党総裁選2025 #2 林直人】

◾️情の人・小泉進次郎
小泉進次郎氏は意外にも情の人である。他の候補者と異なり知に走って角が立つところがない。福島で「処理水」が問題になったときには、福島でサーフィンをしてみせて懸念を払拭した。このように彼は常に弱者に対する眼差しがあり、恩着せがましいことを言うことなく、行動でそれを示してみせる。
小泉進次郎氏のちょっとした会見での齟齬をあげつらって色々という人が多いが、そもそもあらゆる記者会見を見ていても2時間ほどの記者会見を彼は立派にやり遂げる。どのような知性を持った人でも、2時間の記者会見で1回2回精彩を欠くことはあるだろう。それを考えれば、今は堂々と落ち着いて答弁する小泉進次郎氏の知性は総理として問題ないものだと考える。
仮に百歩譲って知性の面で他の総裁候補よりも多少物足りないものがあるとしても、今の日本で最も求められているのは「情の政治」である。エリートはコモディティ(交換可能)だが、「情がある人」というのは案外今の世の中では少ないように思う。
それを私が感じたのが吉田はるみ・立憲民主党衆議院議員の発言だ。彼女は「給付より減税」を主張し、自民党・公明党・立憲民主党の三者で協議されている「給付型税額控除」とは異なる方向性を示した。
しかし、給付は貧困層にも効果があるのに対し、減税は中間層・富裕層にしか効果がない。彼女自身の選挙区が東京の都市部で富裕層が多いこと、一方で小泉進次郎候補の選挙区が疲弊した横須賀であるという点にも注目すべきだが、案外彼の政策方針(「給付付き税額控除についても与野党で議論をする」)は彼自身が貧困層に寄り添う情の政治家であるということを証明している。
また一方で給付型税額控除の議論に前向きな小泉進次郎氏は自助努力を促す政治家でもある。生活保護は海外旅行ができない(かつてはエアコンも自動車もだめだった)などあらゆる私生活の制約と引き換えに一定額の給付を得られる制度で、一定額の給付を得られるがゆえに勤労意欲を失わせる政策であった。しかし、給付型税額控除であれば働けば働くほど少しずつ収入が上がるような制度設計もできる。