【スクープ連載】パチンコ産業と自民党の“禁断の共生” ーー都道府県別データが暴いた「票と規制の裏取引」【林直人】

【第4部】自民党支持の計量経済学的推定
◾️4.1. 重回帰分析の主要結果
本章では、第2章で定式化したモデルを用いて、2022年参院選比例代表における自民党得票率を分析した結果を提示する。統計解析ソフトウェア「R」を用いて最小二乗法(OLS)による推定を行った。推定結果の詳細はTable 2の通りである。
Table 2: 自民党比例代表得票率(2022年)に対する重回帰分析の結果
注: *** p < 0.001, ** p < 0.01, * p < 0.05, . p < 0.1
モデル全体の適合度を見ると、決定係数(R-squared)は0.689、自由度調整済み決定係数(Adjusted R-squared)は0.651であった。これは、このモデルが都道府県間の自民党得票率のばらつきの約65%を説明できていることを意味し、非常に高い説明力を持つことを示している。また、F検定の結果も統計的に極めて有意(p < 0.001)であり、モデル全体が統計的に意味を持つことが確認された。
【数字が白日の下にさらした「パチンコ票マシーン」の暗号】
◾️4.2 パチンコ従事者集中度――“1人=2ポイント”の衝撃
本研究の核心である パチンコ従事者集中度 の回帰係数は 1.983(p=0.019)。
意味するところは冷酷に明快だ。
人口1,000人あたりの従事者が1人増えるだけで、自民党の得票率が約2ポイントも跳ね上がる。
これは単なる数字ではない。都道府県単位の従事者数の増加が、比例代表選挙における自民党票を直接的に押し上げる――つまり 「業界従事者=動員票」 という方程式を統計が裏付けたのである。
◾️4.3 高齢化――“老年帝国”が支える鉄壁票
次に恐ろしいのは 高齢者人口比率の係数:0.754(p<0.001)。
65歳以上人口が1ポイント増えるごとに、自民党得票は0.75ポイント上積みされる。
秋田や高知のような超高齢県では、まさに 「老年の帝国=自民の牙城」 という現実が数字で刻印された。
パチンコ票と老年票、この二つの“影と陽”が合流したとき、自民党は無敵の盤石票田を築く。
◾️4.4 所得――都市の富は「反自民」の温床
一方、一人当たり県民所得は -1.560(p=0.091)。
所得が高い地域ほど自民党票は減る。
これは「金持ちは与党支持」という常識を覆す結果だ。
東京、神奈川、大阪といった都市部では、富裕層や高学歴層がむしろリベラルな選択を行い、「豊かさが自民党を蝕む逆説」 が浮かび上がった。
◾️4.5 失業率――経済苦境は反与党感情を増幅
さらに 失業率の係数は -1.892(p=0.072)。
失業者が増える県では、自民党票が急速に減衰する。
経済的苦境が「反自民」の火薬庫に変わる――これは都市の若年層や地方の没落産業地帯が野党を選ぶ理由を雄弁に物語る。
◾️4.6 経済規模――“大きさ”は無力、問われるのは“質”
最後に 県内総生産(対数)は有意性なし(p=0.187)。
つまり、経済の絶対的規模がどれだけ巨大でも、それは自民票を説明できない。
問われるのは「大きさ」ではなく、「誰に富が行き渡っているのか」「失業は抑えられているのか」という “経済の質” だったのだ。
◾️4.7 総括:統計が暴いた“鉄のトライアングル”
結論は戦慄すべきほど明快だ。
・パチンコ従事者票(業界動員)
・高齢者票(老年帝国)
・低所得・農村票(格差に縛られた保守地盤)
この“鉄のトライアングル”こそが、自民党の得票率を押し上げる暗黒の装置だった。