【スクープ連載】パチンコ産業と自民党の“禁断の共生” ーー都道府県別データが暴いた「票と規制の裏取引」【林直人】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【スクープ連載】パチンコ産業と自民党の“禁断の共生” ーー都道府県別データが暴いた「票と規制の裏取引」【林直人】

イメージ写真:PIXTA

 

【第5部】“パチンコ票田”が刻む政治の爪痕――産業のフットプリントを追え

 

◾️5.1 「ネオン組織票」という冷酷な現実

 今回の分析が叩き出した最大の衝撃はこれだ。

 パチンコ従事者の集中度は、自民党の得票率を有意に押し上げる。

 つまり、どれだけ高齢化を制御しても、所得格差を考慮しても、失業率を補正しても―― 残るのは“ネオンの力学” だった。

 

・組織化された利益団体政治
 業界団体が従業員や家族に投票を呼びかけ、規制緩和や保護政策と引き換えに“確実な票”を自民党へと運ぶ。

・経済的依存
 地方ではパチンコホールが“最後の雇用主”。雇用を守るために従業員と家族が与党へ投票するのは合理的帰結だ。

・イデオロギー的親和性
 経営者層は自民党の保守資本主義に共鳴し、その価値観が従業員に流れ込み、地域全体の政治風土を保守色に染める。

 この構図はまさに、「産業が丸ごと票田と化す現象」 の典型である。

 

◾️5.2 データが突きつけた「何をして稼ぐか」の政治学

 今回のモデルが問いかけたのは、単なる「豊かさ」や「失業率」ではない。

 それは、「住民がどんな産業に従事しているか」 が政治結果を左右するのではないか、という根源的な疑問だった。

・一人当たり所得・失業率 → 生活の“健全性”を反映

・県内総生産の規模 → 経済の“大きさ”を測る

・パチンコ従事者比率 → 経済の“色”を暴く

 この切り分けによって導かれた答えは衝撃的だ。

 「人々がどの産業で働いているか」が、その地域の政治的DNAを決定づける。

 つまり、秋田の票田は高齢化が支配し、沖縄の票田は所得格差が軛となり、九州の票田はパチンコ産業に彩られる――。

 選挙地図は経済地図の写し鏡なのだ。

 

◾️5.3 限界――それでも消えない「統計の告発」

 もちろん、本研究にも弱点はある。

・生態学的誤謬:都道府県レベルの相関から、個人の投票行動までは断定できない。

・欠落変数バイアス:学歴水準や野党の組織力といった要素を網羅していない。

・データの時間差:2022年選挙結果に対して2021年度の経済データを使わざるを得なかった。

 だが、これらの限界を突きつけてもなお、パチンコ従事者集中度の係数は消えなかった。

 統計は冷酷に告げる―― パチンコ産業は経済活動の枠を超え、政治のフットプリントを刻み込んでいる と。

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林直人

はやし なおと

起業家・作家

1991 年宮城県生まれ。仙台第二高等学校出身。独学で慶應義塾大学環境情報学部に入学(一般入試・英語受験)。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10 分指導するネット家庭教師「毎日学習会」を設立し、現在に至る。毎年100 人以上の生徒を指導し、早稲田・慶應・上智を中心に合格者を多数輩出している(2021 年早慶上智進学者38 名・7/20 時点)。著書に『うつでも起業で生きていく』(河出書房新社)、『人間ぎらいのマーケティング人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)などがある。連絡先:https://x.com/everydayjukucho

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