パチンコ業界の“票の工場” ついに暴かれるーー阿部恭久候補を支える幹部逮捕「ネオンの裏で票が動いた」【林直人】

【第2部】暴かれた“数字の裏の顔”
ーーパチンコ票と自民党支持率の闇
◾️2.1 データの収集は「選挙地図の解剖手術」
今回の分析は、単なる数字遊びではない。47都道府県の投票行動を一枚の「政治カルテ」として解剖する作業だ。総務省が発表した2022年参院選の比例代表制での自民党得票率を“被説明変数”として据え、そこに浮かび上がったのは「パチンコ密度」という異様なファクターだった。
愛媛の投票率から鹿児島のパチンコ密度まで、全ての数字を徹底的に洗い出した結果、統計表はまるで“票の設計図”のように自民党の勝利を裏打ちしている。
◾️2.2 主役は「パチンコ台数」――票を生む鉄のレバー
パチンコ業界の牙城を測る最も冷酷な指標は、“店舗数”ではなく“台数”だ。2016年の全国防犯協会連合会のデータによれば、100人あたりの遊技機台数は、地方に行くほど異常な密度を示す。まるで「村ごとホールに支配されている」と言っても過言ではない。
この“Pachinko_Density”こそ、自民党票を跳ね上げる見えざるレバーだったのである。
さらに「マルハン」「ダイナム」という業界巨頭の店舗数を人口比で割り出すと、都道府県ごとに票田の輪郭が浮かび上がる。特定企業の出店戦略と政党の得票パターンがシンクロしている事実は、もはや偶然とは言えまい。
◾️2.3 制御変数という“偽装工作”
もちろん、研究者は「これは単なる地方特性の反映だ」と言い逃れようとする。だからこそ、一人あたりGDP、失業率、高齢化率、農業就業率、大学進学率といった変数を制御変数として投入した。
だが驚くべきことに、それらを取り除いてもパチンコ密度と自民党得票率の相関は揺るがなかったのだ。つまり、社会経済の皮を剥いでも、奥底に残ったのは「パチンコ=票」という生々しい真実であった。
■2.4 古いデータが示す“不変の支配構造”
パチンコ台数のデータは2016年、他の社会経済データは2024年と時期がズレている。しかし、だからこそ恐ろしい。数年の差を超えても、パチンコホールの分布はほとんど動かず、地方政治の構造を固定化し続けていたのだ。
ネオン街に灯る一台一台のパチンコ機が、選挙当日、自民党に流れる一票一票を暗示していたのである。