自衛隊に参政党の影? 圧倒的組織票を抱えていた「ヒゲの隊長」が2025年参議院選挙で落選した理由(2)【林直人】
◆崩壊する自民党の“岩盤支持層”――データが突きつけた衝撃の裏切り
4.1 仮説は「確証」へ――数字が告げる裏切りの証拠
表2に並ぶ回帰分析の結果は、もはや議論の余地がない。
・参政党支持(H1):若年自衛官比率が1%上がると、参政党の得票率は0.35ポイント上昇。p<0.01という極めて強力な統計的裏付けがついた。
・自民党支持(H2):同じ変数で自民党は**-0.85ポイントの下落**。p<0.05で有意。
つまり、自衛官票は確実に参政党を押し上げ、自民党を切り崩している。2022年には“興味深い兆候”に過ぎなかったこの現象が、2025年には“揺るぎない事実”に昇格したのだ。
4.2 自衛隊と参政党――加速する蜜月関係
2022年の分析では、参政党と自衛隊コミュニティとの関係は「まだ仮説段階」だった。だが2025年、係数は0.254から0.350へ増大し、統計的な確実性も一気に高まった。
これは単なる偶然ではない。
参政党が食料、健康、文化までを「国防」と再定義したことで、自衛官の日常の任務意識と響き合ったのである。つまり、彼らは職業的なアイデンティティとイデオロギーの一致によって参政党支持に引き寄せられている。
保守本流に忠誠を誓ってきた自衛官たちが、今や“反自民の先鋒”となりつつある。
4.3 自民党の「基地崩壊」――ノイズではなく確証へ
最大の衝撃は、H2の支持だ。2022年には「負の相関はあるが不確実」だった。だが2025年――ついに数字は自民党票の崩落をはっきり示した。
かつて自民党の盤石な票田だった「基地の街」で、いまや自民党は確実に票を失っている。これは「抗議」や「一時的な気まぐれ」ではない。データが示すのは、**体系的で構造的な“離反”**である。
つまり、参院での過半数割れは偶然ではない。自民党の最も頼りにしてきた“岩盤支持層”が、内部から崩れているのだ。
4.4 限界と逃げ道――だが言い訳にはならない
もちろん分析には限界がある。
・集団レベルのデータが、個人投票を直接証明するわけではない。
・票の変化は自衛官本人ではなく“基地の街の住民”による可能性もある。
・young_jsdf_ratio は推計値に過ぎず、誤差を含む。
しかし、これらはすべて“逃げ道”にすぎない。なぜなら――仮説は棄却されなかったどころか、鮮烈に支持されたからだ。
統計は冷酷である。数字が告げるのはただ一つ・・・
自衛官コミュニティは、自民党を見放し、参政党へ雪崩を打っている。
そしてその現実は、単なる選挙データの話にとどまらない。日本の政軍関係、文民統制の未来にまで影を落とす“国家規模のスキャンダル”なのである。