参政党を支えてるのはカルトとマルチ? 統計学で暴く参政党のバックとは?【林直人】

Ⅴ. 分析の地平を広げる:オンライン炎上と票田侵攻のリンク
— “検索熱”が指し示す次のターゲット —
◾️5-1 方法論:Google Trendsで「デジタル熱量」をスキャンする
参政党は、世界のポピュリスト潮流と同様、テレビも新聞も通らない裏ルートを使う。それがソーシャルメディアと検索エンジンだ。
今回の分析では、Google Trends の検索データをハッキング…ではなく、非公式API(pytrends)で合法的に吸い上げ、政治動員のデジタル温度計を作った。
検索ワードの仕込み:「参政党」「神谷宗幣」「食の安全」「ワクチン 副作用」「反グローバリズム」「インボイス制度 反対」
集計単位:都道府県レベル(Googleが出せる最小単位)
観測期間:選挙3か月前~投票日前(2022年、2025年の2サイクル)
こうして出来上がるのが、Search Interest Index(検索関心指数)。この数値は政治的“感染力”の測定器だ。
◾️5-2 分析と解釈:ネットの炎が現実の票を動かす
この「検索関心指数」を、前章で使ったオフラインの票田データと突き合わせた。焦点は2つ。
NR影響力が強い地域ほど、オンラインでも参政党テーマの検索熱が高いのか?
オフライン要因を統制しても、検索熱は得票率を独立予測できるのか?
結果は図(概念図)に出ている。
(表3)
読み解きポイント:
オフラインの濃度(MLM・NR指数)が高い地域は、オンラインでも関心が高騰。
検索熱が高い地域では、参政党得票率も顕著に上昇。
これは偶然ではなく、物理的コミュニティ → ネット関心増 → 投票行動という三段ロケットが作動している可能性を示す。
5-3 含意:次の選挙は「サーバー上の予備選」から始まる
このデータが意味するのは、参政党の戦場は街頭ではなく、まずブラウザの検索窓から始まるということだ。
オフラインで固まった支持者ネットワークが、SNSや検索を通じて「議題」を拡散。ネット上の議題浸透が、そのまま現実の投票行動をブースト。
つまり、検索ヒートマップを見れば、次の侵攻地域がわかる。
政治の地平は、もはや選挙区マップではなく、Googleのサーバールームの中にある。