「安定したいから成長したい」東大生がこぞってコンサル目指す、矛盾した心理をレジー氏が解説
日本の社会における働き方とキャリアの問題を解く 気鋭の著者・レジー氏インタビュー
■「新卒でコンサル」の思わぬメリット
レジー氏は「確かに無条件にオススメできるものではないかもしれません」としつつ、新卒コンサルが適している学生もいて、彼らにはメリットが大きいと指摘する。それは、まだ明確にやりたいことが定まっていない人だ。
「コンサルティングファームの選考では、学生時代に頑張ったことや将来どんな人になりたいかということは、それほど重視されません。地頭はいいけれど、まだ何がやりたいか定まっていない人にとっては良い選択肢だと思います」
年次が浅くても、大企業のプロジェクトに関わることができる。そして社内には「とてつもなく頭が切れる先輩」もいるだろう。
「そういった環境で様々な経験を積みながら、次のやりたいことを見つけられる可能性があります。本書でインタビューした若手コンサルの方の表現を借りるならば『お金がもらえるモラトリアム』なんですよ」

一方で、危険なパターンもある。とくに注意すべきは、30代半ばで未経験からコンサルに転職するケースだ。これは意外と多いらしい。
「この数年、業界未経験でもコンサルに転職できる状況が続いていました。しかし、そこで待っているのは『年齢はまあまあいっているけどコンサルとしてのスキルは持っていない』という状態。名刺に書かれたランクは下だけどプロジェクト経験の豊富なメンバーや年下の上司に囲まれることも。上からは詰められ、下からも突き上げをくらうという状況になりがちです」
そんな苦しい状況のまま気づけば40代に突入。「なんでコンサルに転職したんだっけ?」と、コンサルティングファームを去る決意をするも、前職への出戻りは難しい。結局怪しげなベンチャーに引っ張られてキャリア迷子に…。これからこういった事例がどんどん出てくるかもしれない。
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レジー・著『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社新書)
東大生の就職人気ランキング上位をいつのまにか独占するようになった「コンサル」。この状況の背景にある時代の流れとは? 「転職でキャリアアップ」「ポータブルスキルを身につけろ」そんな勇ましい言葉の裏側に見えてきたのは、「仕事で成長」を課せられて不安を募らせるビジネスパーソンたちの姿だった。時代の空気を鋭く切り取った『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』の著者が、我々が本当に向き合うべき成長とは何なのかを鮮やかに描き出す。圧倒的な努力や成長への強迫観念に追い立てられている人たちのための一冊。
〈Amazon内容紹介より〉